第48章 打ち砕かれた野望
「テメェはもう終わりだ稀咲!!」
「みんなが君の企みを知った以上、君はもう誰からの信用も得られない!」
「テメェのくだらねぇ野望は潰れたんだよ!!!」
「終わらせねぇよ!!何度だってやり直してやるさ!!橘はいつかオレのモノになる!!いつか絶対にな!!」
「させるかよ!!そんな事絶ッ対ェさせねぇ!!」
「(距離が縮まらない!)」
稀咲は二人に捕まらないように必死に逃げ続ける。一向に縮まらない距離にカノトは苛立ちを浮かべた。
「稀咲!!さっきの質問の続きだ!!あの夜の出来事を知っている限り全部話せ!!」
「!!」
「君は絶対に何か知ってる!!そうなんだろ!?」
「テメェもしつけえな!!」
「あの頃の僕の世界は兄さんを中心に回ってた!!兄さんだけが僕の全てだった!!ずっと幸せな世界で生きていられると思ったんだ!!それを全部壊したのは君だ!!」
「……………」
「僕に返せ!!勝手に奪うな!!君が一言兄さんを殺した犯人だと言えばいいんだよ…!!」
息を切らしながら叫ぶ。
「素直に白状しろ!!」
すると顔だけを後ろに向けた稀咲は、カノトを見てニヤリと笑った。
「"さあな"!!」
「っ!!」
ギリッと歯を噛み締め、顔をしかめる。
「テメェのその顔を見るのは気分がいいな!!仕方ねぇから白状してやるよ!!」
「!!」
「オレはテメェの兄貴を殺しちゃいねえ!!」
「なっ!?そんなはずは───!!?」
「期待が外れて残念だったな!!」
「(本当に稀咲じゃないの?)」
「けどそうか、やっぱり兄貴は死んだか!」
「は……?」
意味深な言葉を吐き、稀咲は可笑しそうに笑う。
「"やっぱり"って…どういう意味だ!?」
混乱するカノトの質問には答えず、見下すような眼と笑みを浮かべる稀咲。
「君が兄を殺していないなら一体誰が…!!」
「知るかよ!!」
「ふっざけんな!!ここまできて意味深な言葉だけ残しやがって!!君を捕まえて全部吐かせる!!未来に帰してたまるか…!!」
「そうだ!!二度とオマエを未来に帰すワケにはいかねぇんだよ!!!」
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