第5章 ミッション失敗…?
「ピンクゴールドなんて好きだったっけ」
「プレゼントされたの」
「は?プレゼント?」
マドカの眉間に皺が寄った。
「そんな高そうなもの、どこで買ったんだ?というかプレゼントされたって誰に?」
「高そうに見えるけど中学生でも買えるお手ごろな値段だよ。ちなみに友達から」
「…ペア物じゃないか、それ。」
「(兄さんは過保護なんだよな…)」
マイキーの髪色に似たピンクゴールドのパズル型のネックレス。彫られた文字は未だ分からないままだが、カノトはマイキーとの“繋がり”を大切にしていた。
「友達同士でペア物を身に付けるの、学校で流行ってるの」
「学校で?」
「みぃちゃんも汐ちゃんもペア物のキーホルダーとかブレスレットとかしてるよ」
さりげなくクラスメイトの名前を出し、マドカの信用を得る。
「ふーん…今時の学生はそういうのをお揃いで身に付けるのが流行りなのか。カノのそのネックレスも友達とお揃いなんだな」
「うん」
「友達から貰った物なら無くすなよ?」
「(なんとか誤魔化せられた。)」
ホッと安堵の息を洩らす。
「(このネックレスが私と彼を繋ぐ唯一の証…。)」
手に包み、優しく握りしめる。
すると聞き慣れた排気音が外から聞こえ、部屋の開いた窓からマンションの下を覗く。
「!」
バイクに跨ったマイキーが既に到着しており、カノトは嬉しそうな顔をした。
「ごめん兄さん!迎えが来たからもう行くね!」
「遅くなる時は連絡…」
最後まで言い切る前にカノトはバタバタと部屋を出て行った。
「嬉しそうな顔してたな」
マドカは窓からマンションの下を見た。
「誰だあの男?」
しばらくして誰かがマンションから走って行くのが見え、マイキーと合流したのが最愛の妹だと知る。
「まさか…友達って男か?」
驚いた顔を浮かべたマドカは二人をじっと見つめていた。
「だからあんなに可愛くして…。つーかあの男…どっかで見たことあるような?」
その時、携帯の着信音が鳴り、マドカはハッとした。
「やべぇ!ゆっくりしてる場合じゃなかった…!!」
慌てて通話ボタンを押す。
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