第48章 打ち砕かれた野望
「オマエの"やるべき事"はまだ残ってるんだろ?ならそれをきっちり成し遂げろ!」
「(やるべき事…。)」
「早くしろ!!」
「っ、お願いします…!!」
ヘルメットを装着しながらバブの後ろに跨り、マイキーの腰に両手を回す。
「飛ばすからしっかり捕まっとけよ!」
「はい!」
ブォォォォンッと排気音を響かせながら発進したバブはすぐにタケミチ達を追い掛けた。
『お兄さんのいる世界を…取り戻しませんか?』
「(ナオトくん。ついに追い詰めたよ。)」
東卍を乗っ取る為だけに
ドラケンくんを殺し
羽宮くんを殺し
場地さんを殺して
現代(みらい)では千冬くんも撃ち殺した
柴兄弟を破滅させ
ナオトくんを殺し
エマちゃんを殺し
イザナ…鶴蝶…ヒナちゃん…
そして何より
私から兄さんを奪い
幸せだった世界を壊し続ける元凶!!
「絶ッ対に逃がさない!!」
ここで逃がしたら
またタイムリープされて
全部パーだ!!
「(ようやく…長い悪夢から解放される。)」
ここまで来るのにどれだけ頑張ってきたか。どれほど友の力を借り、どれだけ恋人の存在に助けられてきたか。感謝してもしきれない気持ちで一杯だった。
「万次郎くん」
「!」
カノトはマイキーを見る。
「この一件が全て片付いたら、話があります」
「……………」
「聞いてくれますか?」
バックミラー越しにカノトを見た後、視線を前に戻すマイキー。
「オレがカノの話、聞かねぇわけねーじゃん。いいよ、終わったら全部聞かせて」
「ありがとうございます」
風に煽られながら、聞こえるように返事を返した。
◇◆◇
「テメェの負けだ稀咲!!」
ある駐車場で稀咲を追い詰める事に成功したタケミチは、稀咲と殴り合いの喧嘩を始めていた。
「テメェは弱ぇからいつでも盾と剣になる奴を作る!!愛美愛主!芭流覇羅!!天竺!!自分一人ではなんもできねぇ小心者だ!!」
馬乗りになり、殴り続けるタケミチ。拳を振り翳せば、顔に当たる寸前で稀咲の手によって止められてしまう。
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