第48章 打ち砕かれた野望
「稀咲ぃぃ!!」
「!」
「ゲーーーット!!!」
バイクに乗った半間が上手く稀咲をチャッチし、そのまま連れて逃走する。
「半間!?」
「悪ぃな勇者チャン!」
「待て!!」
「一緒に連れて行けなくて残念だけどオレらは運命で結ばれてる。きっとまたいずれ会える。寂しいと思うけどイイコで待っててな♥」
どんどん遠ざかって行く二人を焦った表情で見つめる。
「(まずい!!逃げられる!!ここで逃がしたらまた同じ事の繰り返しだ!!そんなの駄目!!)」
うっすらと涙が目尻に浮かぶ。
「(いい加減、返してよ。私に…返して。君が奪ったモノを──返せ…!!)」
既に去って行った方向を憎しみと悔しさが交ざった顔でキッと睨み付けた。
「タケミっち!!」
「!?」
「乗れ!!追うぞ!!」
「ドラケン君!!」
ゼファーの後ろに乗り込もうとしたタケミチの視線がカノトに向けられる。
「カノト…」
「行け!!」
「!」
「絶対に稀咲を捕まえて!!」
タケミチはしっかりと頷き、ドラケンと共に半間のバイクを追い掛けた。
「(…兄さん、あと少しだよ。)」
『なぁカノ…これからお前の歩む人生の中に…悲しい事や辛い事が…きっとある。でも…挫けないでほしいんだ…』
『お前は独りじゃない…俺が傍にいる…お前の心の中に…ずっといる…。だから…簡単に心は折られないでくれ…』
「(きっと犯人は稀咲に決まってる。だって…全ての元凶はアイツだ。稀咲が犯人じゃなきゃ…もう心当たりがない。)」
だからお願い
どうか犯人であって───。
「やっぱり…気になる、な…」
タケミチに後を託したが、やっぱり気になってしまう。もし逃げられたら。もしタケミチの身に何かあったらと気が気じゃなかった。
「カノ!!」
「!」
名前を呼ばれて振り向いたと同時にヘルメットが放り投げられ、慌ててチャッチする。
「乗れ!!」
「万次郎くん…」
そこにはバブに跨ったマイキーがいた。
「アイツら追い掛けんぞ!」
「でもヒナちゃんが…」
「ヒナちゃんなら千冬達に任せた!」
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