第48章 打ち砕かれた野望
「雪だ…」
「(冷たいはずなのに、この雪はとても温かい…)」
掌に落ちた小さな雪が溶けて消える。
「東卍も天竺もみんな!聞いてくれ。抗争は終わりだ」
マイキーが抗争の終わりを告げた。
「もうすぐ救急車と警察が来る!これ以上の不幸が出る前にみんなこの場から離れろ!!この場はオレが残って収める!!解散だ!!」
急な展開に理解が追いつかず、その場から動こうとしない両チーム。
「モタモタすんな!!!」
「マイキー!!」
「!」
「オマエもこの場から…離れろ」
「オレらが残る」
「オマエら…」
S62世代の面々が代わりにこの場に残ると申し出た。そしてマイキーの視線は腰が抜けて立てなくなっている稀咲に移る。
「テメェだけは許さねぇぞ稀咲!!」
「待ってください、万次郎くん」
「!」
マイキーの横に並び、稀咲を睨み付ける。
「稀咲…君には聞きたい事がある」
胸辺りの特服をギュッと掴み、怒りを抑え込む。冷静を保とうとするが声は少し怒気を含んでいた。
「あの夜…兄さんを後ろから襲って殺したのは、君か?」
「!!」
その質問に稀咲も隣にいるマイキーも目を見張る。
「もし君があの時の犯人なら…僕は君を絶対に許さない。幸せを取り戻した僕の世界をまた壊して奪った君に…復讐してやると誓ったんだ」
「カノ…」
「さぁ答えろ稀咲。君が犯人なのか?」
あの時と同じ気持ちが込み上げ、自然と激しい憎悪が紫色の瞳に宿る。
「…そうか、オマエも…」
何かに気付いた稀咲はボソッと小さく呟くと、カノトを見て憎たらしい顔で笑う。
「さぁな」
「っ………!!」
「カノ!」
稀咲の態度にキレたカノトが掴み掛かろうとすれば、マイキーが腕を掴む。
「止めないでください…コイツは兄さんを…」
「止めるよ。またオマエに傷付いてほしくないから。それにコイツをこの場で問い質した所で素直に白状するとは思えねぇ」
「っ…………」
マイキーに優しく諭され、体の力を抜く。カノトは悔しげに顔を歪め、ギュッと手を握り締めた。
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