第5章 ミッション失敗…?
「色んな屋台が出てて楽しいですよね。タケミチくんはヒナちゃんと行くらしいです」
「オレと行こうよ、夏祭り」
「!」
「今回のお詫びも兼ねてさ!」
「(まさか本人から誘ってくれるとは…)」
マイキーくんと一緒に…
それだけで嬉しくてニヤけそうだった。
「はい!」
「よし!じゃあ迎えに行くから準備して待っててよ」
「わかりました。すごく楽しみです!」
「それはオレと一緒に行ける事が?それとも屋台見て回れる事が?」
「…りょ、両方、です」
「そこはオレと一緒に行ける事がって答えるところだろー」
「そういう意地悪な質問やめてください」
「カノの困った顔見んのも好きなんだよねオレ♥」
「ドS発言…」
「オマエにしか言ったことないよ」
「なおタチが悪い…!」
「はは、」
マイキーは可笑しそうに笑った。
「期待してていいよ。めちゃくちゃ楽しませる自信あるから」
「(もうすでに楽しいのですが…!!)」
夏祭りに行く約束を交わしたカノトはマイキーに送ってもらい、ニコニコ顔で帰路に着いた。
✤ ✤ ✤
8月3日────。
「カノちゃん!!普段と違って髪アレンジしてんのめっちゃ可愛い!!」
「ただの編み込みだよ」
夏祭り当日。流石に浴衣は着ていけないので涼し気な格好を選んだ。髪も頭の横を編み込み、前髪はいつものピンで留める。
「まさか俺の為にオシャレしてくれた!?」
「兄さんの為じゃない」
「もしかして夏祭り用?」
「そう」
「誰と行くんだ?」
「友達」
「それって…男じゃないよな?」
「…友達。」
ニコォッと黒笑を浮かべるマドカの鋭い勘から逃げるように顔を背ける。
「今の間、絶対怪しい…」
「兄さんだってもう少ししたら出掛けるんでしょ?大学の友達と飲みだっけ?準備しなくていいの?」
「するけどさぁ…」
財布と携帯をポケットに突っ込み、着替えの為に外していたネックレスを首から下げる。
「そのネックレスどうしたんだ?」
マドカがそれに気付き、不思議そうな顔をした。
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