第47章 12年後に死んでしまう君へ

「"暴力(ﾁｶﾗ)"で全てをねじ伏せてきた。計画が狂っちまった以上しょうがねぇ。殺してやる」



「(貴方は負けない。だって、私は信じてるから。万次郎くんなら絶対に大丈夫だって。)」



ダッと地を蹴り、何度もイザナに向かうマイキー。



「だからよー、見切っちまったって言ったろ!?」



勢いよく振り下ろされた蹴りを腕で受け止め、片手でマイキーの左目に拳を食らわす。



ゴッ



「一つ聞かせろ」



「？」



今度は吹き飛ぶ事なく、イザナに質問を投げ掛ける。



「なんで妹(ｴﾏ)を殺した？」



カランと耳飾りを揺らし、イザナはその動機について語り始める。



「マイキー、オレの秘密を教えてやる」



「(イザナの秘密!?)」



「真一郎はオレの思う"理想の兄"になってくれなかった。そしてオマエの部下が殺しちゃった…」



「(羽宮くん…)」



「だから決めたんだ。オレはオマエを"灰"にして真一郎(お兄ちゃん)にする」



マイキーの顎をぐっと掴み、ニヤリと笑う。その言葉にカノトは目を見張って驚き、イザナに怒りさえ感じた。



「(何言ってんのコイツ!?万次郎くんを真一郎さんの代わりにするってこと!?)」



「だから早く空っぽになれよ」



「(どこまで彼を壊そうとするのイザナ。空っぽになったら…それこそ本当に闇堕ちに繋がっちゃう！)」



「…そんなんエマを殺した理由になんねぇだろ？」



エマを殺した理由に納得できず、更に動機を追求しようとしたが、イザナの足が直撃し、ズザァァァッと蹴り飛ばされる。



「オマエが全て奪ったんだよ万次郎!!だからオレは…オマエも殺す。そして全てを奪ったオマエからカノトも奪ってやるよ」



「…させるわけねーだろ」



そう言って立ち上がったマイキーは眉を顰め、イザナを睨み付ける。



「アイツはオレの大事なモンだ。命懸けてでも守り抜くってアイツの兄貴とも約束してんだ。だからぜってー誰にも渡さねぇ。オレからアイツを奪えると思うなよ」



「あ？」



「オレは本気でアイツに惚れてる。けどテメェの"それ"は好きとは違ぇだろ。狂気と暴力でアイツを支配しようとしてる。そんなの…許すわけねぇだろうが。」



声に怒気が含み、キレるマイキー。



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