第47章 12年後に死んでしまう君へ
「それにアイツはオマエのモンにはならねぇよ。ずっとオレを好きで居続けてくれてる。他の男に尻尾振るはずねぇだろ」
「……………」
マイキーは自信たっぷりに笑って見せる。その態度に苛立ちと不快さを覚えたイザナは、頬に青筋を浮かばせると、無言でマイキーを殴った。
ゴッ
「マイキーくん!!」
名前を呼べば、イザナの冷たい視線がこちらに向けられ、ビクッと身体を震わせる。
「確かにコイツ一筋みてぇだな…。けどよマイキー、テメーのその執着は異常だな。見てて気持ち悪ィんだよ」
「……………」
「重いし、鬱陶しい。」
「重い方が愛されてるって感じすんだろ。オレらの関係はフツウじゃない。でもこれもちゃんとした"愛のカタチ"なんだよ」
「…………、マジで狂ってんなテメーら。」
うんざりするように深い溜息を零したイザナはスッと無表情になり、マイキーに向けて足を振り翳す。
「(私達の欲しがった愛のカタチは、純愛と呼べる程、綺麗なモノじゃない。それでも…万次郎くんから貰う愛は、どんなカタチでも嬉しい。そこがきっと"フツウ"じゃない。)」
イザナに一方的に蹴り倒されるマイキーを見ながら、カノトは自分達の愛の歪さを心の中で語った。
「どーしたマイキー!!?テメーの本気はこんなモンか!?」
狂気に染まる笑みを浮かべるイザナの蹴りを防いだり、隙を見て反撃するマイキー。
「バケモンか!?黒川イザナ!!!」
「(本当に強い。あの"無敵のマイキー"がやられる一方なんて…。)」
「…マイキー君。まさか…手ぇ抜いてるって事はないっスよね?」
「…マイキーは全力だ。それだけ黒川イザナが強ぇーんだよ」
「(でもあれだけ万次郎くんの蹴りを何度も受けてたら、そろそろイザナの方にも影響が出ても良いハズなんだけど…)」
不思議に思い、イザナをじっと見つめる。
「すっげ!!イザナはここまで強ぇーのかよ!!」
「…孤独がイザナの強さ」
喜びにも似た驚きの表情を浮かべる半間に鶴蝶はイザナの過去を語り始める。
「12の時、イザナは集団に襲われて重傷を負った。回復したイザナは一人ずつにお礼参りをして全員再起不能。そして最後に襲った集団のリーダーをツメた」
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