第47章 12年後に死んでしまう君へ
「タケミチ君それを止める為に未来から来たんです。ウソみたいな話ですよね…でも本当です…彼…必死だからみんなの未来を知ってる」
唇を噛み締め、泣きそうな声で告げる。
「それにカノちゃんも…12年後に死んでしまうお兄さんを救う為に、タケミチ君と一緒に未来から来たんです」
それを聞き、マイキーの鼓動がドクンッと跳ね、虚ろだった眼が生気を取り戻し、大きく見開かれる。
「タケミチ君もカノちゃんも、みんなを助けたいと思ってる。なのに私は彼の為に何もできない…」
指先を絡め、胸の前で祈るように組んだヒナはもどかしそうな声で涙を溢れさせる。
◇◆◇
「え!?タイムリープの事話しちゃったの!!?」
「あの二人に!?」
カノトもタケミチの側に駆け寄って来ると、ヒナから自分達が未来から来た事をマイキーとドラケンに話したと言われ、二人して驚いた顔をする。
「えっと…ゴメン…つい…」
「『つい』って…」
「(二人とも最愛の人を亡くしたばかりなのに、あの状態からすぐに立ち直れたとはとても…)」
心配そうに二人を見る。
「どうするよ?マイキー。天竺は半分ぐらいはまだ動けそうだぞ」
「半分か…200対2って事だな」
「あぁ…」
「ハンデいる?」
「!!」
「ハンデだと!?」
余裕たっぷりにそう言われ、天竺のメンバーがマイキーの発言にザワつき始める。
「ふざけんなこの野郎!!」
「バカにしてんのか!!?」
「こっちのセリフじゃゴラぁ!!」
「テメェらこそバカにしてんじゃねぇのか?オレを誰だと思ってんの?200人?2万人連れて来い!!」
「2万人!!?」
「(あぁ…いつもの万次郎くんだ。あの時の憔悴しきった顔じゃない。ちゃんと目に光が戻ってる…。帰ってきた…私の大好きな『佐野万次郎』が。)」
ポロポロと涙が溢れ出した。マイキー以外の前では泣くのを禁止されたばかりなのに、気持ちが抑えられず、勝手に流れてしまう。
それはみんなも同じだった。マイキーとドラケンが不在の中、絶対に二人は抗争に参加しないと思っていたから余計に、二人が現れた事、いつもの調子に戻っている事を知り、涙を浮かばせ、泣くのを堪えている。
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