第47章 12年後に死んでしまう君へ
「っ…………」
銃口から放たれた弾丸は一直線に伸び、目にも止まらぬ速さでカノトの頬を掠めて後ろにあるコンテナに貫通し、穴を空けた。
「(コイツ…わざと外したな。)」
掠った瞬間、熱さと痛みで顔を歪めた。頬からは血が垂れ始め、キッと稀咲を睨む。
「テメェも殺したいほど目障りなんだよ、宮村。花垣と一緒でテメェも諦めが悪ぃ。この抗争で天竺の連中に袋叩きにされて戦闘不能になると思ってたのに…テメェのその勇敢さと生意気な面は見てて腹立つんだよ」
「……………」
「テメェの心を完全に折るには、やっぱ"大事にしてるモン"を壊さねぇとダメか?」
「稀咲…ッ!!!」
稀咲が口にした言葉に激しい怒りが募る。
「そんなことしてみろ!!僕の大事なものを本気で壊すつもりなら容赦はしない!!君を地獄に堕としてやる!!」
今まで見たこともないカノトの凄まじい剣幕にタケミチや千冬、東卍や天竺のメンバーは固唾を呑んで見守っていた。
「(っ、怒りで体が震える。冷静になれ。自分に言って利かせたはず。一度冷静を欠いたらそこから全部壊れるって…。)」
上がった熱を冷ますように深く深く深呼吸をする。息を全て吐き切った後でやっと冷静になれ、見下すように笑っている稀咲に落ち着いた口調で言う。
「君に僕の大事なモノは壊せないよ」
「!」
「だって僕が絶対に守るから。誰にも壊されないように大事にしてるんだ。君が少し罅を入れたくらいじゃ…僕の心は折れないよ」
稀咲は驚いて目を見張った。
「それと忠告しておく。今までの君の行いは決して許されるものじゃない。僕達が必死になって変えてきたものを何度も壊して、その度に自分の都合が良いように塗り替えたんだ。必ず罰が下る。よく覚えておくんだな」
「……………」
冷たい顔でピシャリと言い放てば、稀咲は舌打ちをした後、タケミチの方に向き直り、拳で思いきり殴りつけた。
ゴッ
殴られたタケミチは踏ん張りが利かず、地面に倒れてしまう。自力で起き上がろうにも体に力が入らず、動けない。
「(くそっ、体が言う事利かねぇ!!!)」
すると腕を掴み、タケミチを引っ張り起こす誰かがいた。
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