第47章 12年後に死んでしまう君へ

「どうしたよ？稀咲…足撃ったってオレは死なねぇぞ」



タケミチは痛がる素振りは見せなかった。普通なら撃たれた衝撃で悲鳴の一つでも上げたくなるものだが、タケミチはその場に蹲り、余裕な笑みでニヤリと笑っている。



「オレはマイキー君みてぇなカリスマもねぇし、カノトみたいな勇敢さもない」



「!?何言ってんだテメェ」



「ナオトみてぇに賢くもねぇし、ココ君みたいに器用でもない。ムーチョ君みてぇに体もでかくねぇし、ドラケン君みてぇに喧嘩も強くねぇ」



「(確かに君は彼らのような才能は持ち合わせていない。でもね、そんな君にも才能とも呼べる強さがあるの、私は知ってるよ。)」



「だからオレにできる事は一つ!!諦めねぇ!!!死んでも諦めねぇ事だ!!」



「(そう、それが君の強さの理由。誰かが諦めても君だけは最後まで諦めない。私は…君のそういう強さに憧れた。)」



ここにいる誰よりも"覚悟"を背負い、誰よりも諦めない気持ちが強いからこそ、タケミチはまるで本物のヒーローのように何度でも立ち上がる。



「(やっぱり君はすごいな。)」



カノトは小さく笑みを浮かべて笑った。



「ぶっ殺す」



「やってみろ！」



タケミチは稀咲の脅しの言葉を跳ね返し、突き付けられた銃口に自ら額を押し当てた。



「簡単だろ？エマちゃんを殺したように」



エマを殺した稀咲を許せず、怒りと憎悪が混じった表情を見せ、ギリッと歯を噛み締める。



「……………」



すると稀咲は無言でタケミチに向けていた銃を下ろす。



「(銃を下ろした…？)」



それを見たカノトは疑問を浮かべ、不思議そうに稀咲を見た。



「…狙ってンのが花垣(ｺｲﾂ)だけだと思って安心してんだろ？」



誰に向けた言葉なのか。この場にいる誰かに向けた言葉に全員が頭の中にハテナマークを浮かべた。



「"テメェも"邪魔なんだよ」



カチャッ



「！？」



下ろされた銃が突如、苛立った稀咲の言葉と共にカノトがいる方に向けられた。目を見開いて驚くカノトに、稀咲は無表情で引き金を引いた。



ドンッ



「カノト!!」



焦ったようにタケミチがカノトの名前を叫んだ。



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