第47章 12年後に死んでしまう君へ
「何してる鶴蝶…早くとどめを刺せ!」
「カクちゃんじゃオレには勝てねぇよ」
「……は?」
「目ぇ見りゃわかる。負けらんねぇって覚悟がねぇ」
強張った顔でタケミチを見る鶴蝶。
「どけ、鶴蝶」
「!」
「じゃあテメェにはあんのか?タケミっち。その『死んでも負けらんねぇって覚悟』がよ」
鶴蝶を押し退けた稀咲が嘲笑を浮かべながらタケミチの顔の前に突き付けたのは本物の銃だった。
「!?銃!!」
「オイ!なんだよソレ、ガキの喧嘩だろ!?」
「稀咲!」
「(まさかタケミチくんを殺す気!?)」
想定外の出来事にカノトは目を見開き、緊張した面持ちで稀咲を見る。
銃を突き付けられたタケミチは恐怖で身が竦むどころか、"人を簡単に殺せる凶器"を目の前にしても、悠然と構えており、その瞳は真っ直ぐに稀咲を見据えている。
「(こんな状況なのにオレ…なんだろう…怖くねぇ。)」
『僕に協力してください!!』
「(ナオト。)」
『君は…僕の誇りです』
「(導いてくれてありがとう。)」
『大丈夫。私が君の近くにいるよ。お互いに助け合って今回も無事に乗り切ろう』
「(カノちゃん。)」
『いつだって君には勇者がついてるぞ!!だから頑張れ!!負けるな!!自分を信じろ!!』
「(いつも味方でいてくれてありがとう。)」
『マイキーを…東卍を…』
「(場地君。)」
『オマエに託す!!』
「(千冬。)」
『東卍を頼むぞ、相棒』
「(みんなの想いが勇気をくれる。だから何も怖くねぇ。)」
大切な人達から託された想いは、タケミチの中で勇気に変わり、恐怖心を消してくれた。
「稀咲」
口許に笑みを浮かべて名を呼ぶ。
「お前、何びびってんだよ?」
そんなタケミチの気迫に呑まれた稀咲は過呼吸を起こし、ハァハァと荒い息を繰り返す。
そして不安が大きく膨れ上がったのか、人差し指に掛けていた引き金をタケミチに向けて引いた。
ドンッ
「タケミチくん!!」
誰しもが驚いた顔を浮かべた。だが稀咲が撃った弾丸はタケミチの左足に貫通していた。
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