第47章 12年後に死んでしまう君へ
「待てコラぁ!!」
「!」
「ムーチョ君…」
アングリーに伸されたハズのムーチョが怒鳴り声を上げ、血走った眼でそこに立っていた。しかもその手には短刀が握られている。
「短刀(ドス)!!?」
「(あんなの隠し持ってたの!?)」
「オレは…負けねぇ…負けてねぇぞおお!!!」
「アングリーくん!危ない!」
ムーチョはアングリーに向けて短刀をブワッと振りかぶる。それを後ろに飛び、スレスレで回避したアングリー。
「アングリー君!!」
タケミチがドンッとアングリーを突き飛ばし、ムーチョの前に飛び出す。
「っ、タケミチくん!!」
タケミチが死を覚悟した瞬間、ムーチョの短刀を鶴蝶が掴み、動きを止めた。
「!!」
「アンタの負けだ、ムーチョ」
「どけクソガキ。テメェに何がわかる」
ムーチョは涙を浮かべ、体を震わせる。鶴蝶はムーチョの腹部にパンチを食らわせた。
「アンタまで天竺に染まるな」
バタンと地面に倒れるムーチョ。味方なのに助けてくれた鶴蝶にタケミチは驚きながらもお礼の言葉を伝える。
「ありがとう…カクちゃん」
「勘違いすんなよタケミチ。テメェを助けたつもりはねぇ。命を預けた男の行く先が、たとえ地獄であろうとついて行く」
その気迫にカノトはゾワリと身を震わせる。
「あの頃のオレじゃねぇぞタケミチ。天竺四天王、筆頭、鶴蝶だ」
ダッと地面を蹴り、一気にアングリーのいる距離まで差を詰めた鶴蝶。
「(速い!でも合わせられる!)」
だがアングリーよりも速く、鶴蝶が拳を振り下ろす。アングリーは衝撃を受けたように吹き飛び、ドサッと地面に叩きつけられる。
「えぇ!?」
「コイツ…!!」
「(あれほど強かったアングリーくんが手も足も出ないなんて…!)」
すると鶴蝶はイヌピーと千冬を同時に吹っ飛ばし、こちらに向かって来た。
「(やばい…!!)」
「下がれカノト…!!」
慌てたタケミチはカノトの特服を掴んで、放り投げてでも助けようとした。けれど鶴蝶の動きの方が速く"やられる!!"と思ったカノトは猫騙しを使う為、鶴蝶に向けて咄嗟に両手を伸ばし、手を合わせようとしたが…。
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