第47章 12年後に死んでしまう君へ
ガッ!!
「っ………!!」
「カノト!!」
両手打ちが間に合わず、鶴蝶のパンチをモロに顔面に食らい、パンッという音と共に宙に舞い、少し離れた位置まで吹っ飛ばされる。
「っ…い、た…ぁ…っ…ぐ…うぅ…」
流石に涙が浮かんだ。全身を地面に打ち付け、あまりの激痛に起き上がる事すら出来ない。
「(い…たぃ…容赦なく殴りやがって…っ)」
すると鼻の奥からツゥー…と何かが垂れてきた。痛みを堪えて指先で鼻の下辺りを拭えば、真っ赤な鼻血が付着している。
「っ…さぃ、あく…」
動けない身体を無理やり動かし、尻ポケットをゴソゴソと漁り、ハンカチを取り出すと、鼻血が止まらない鼻に押し当てた。
「東卍はもうオマエ一人だ、タケミチ」
「本当に強くなったんだね、カクちゃん!…で、人殺し集団の一員だ。何があったんだよ?」
怖い顔でタケミチを睨む鶴蝶は、タケミチの腹部に強烈なパンチをお見舞いする。
「ガハ……」
「小2 (ガキ)と今が違ぇのは当然だろ。昔話をする気はねぇぞタケミチ!」
続けてタケミチの顔を殴る。
「なんでだよカクちゃん!」
「"孤児(オレら)"の絆はテメェにはわかんねぇ。オレはたとえ幼なじみ(テメェ)であろうと」
呼吸を荒らげるボロボロのタケミチの顔面に拳を叩きつける鶴蝶。
「情なく殺せる!!」
タケミチの体は宙に舞い、地面に倒れた。そんな光景を痛みと苦しさが交じった顔で見つめるカノト。
「タケミチ…くん…う、ぐ…ぅう…っ」
痛みが走る体を無理やり起こし、鼻にハンカチを押し当てたまま、鶴蝶に一方的にやられっぱなしのタケミチに声援を送る。
「負けるな…頑張れ…」
顔中傷だらけで地面に伏せるタケミチは動けずにいる。今は祈ることしかできないカノトは何度も"頑張れ"と繰り返す。
「なんだ…鶴蝶。やっぱ…あの頃と変わんねぇじゃねぇかよ」
よろめきながら立ち上がるタケミチに、じわりと涙が浮かぶ。
「小2(ガキ)のパンチじゃねぇか!」
鼻血を噴き出しながらタケミチは笑う。その姿に鶴蝶は目を見張って驚いた。
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