第47章 12年後に死んでしまう君へ
「この顔の腫れ、一生根に持ってやるからな。僕が傷付くことをあの人は許さない。だから顔は特に注意してたのに…僕の大事な人が悲しんだらどうしてくれんだ、バカ共。」
小さくチッと舌打ちをして、殺気を溢れ出すカノトの威圧感に天竺のメンバーはゴクリ…と生唾を呑む。
その様子をコンテナの上から傍観していたイザナは唐突に話し始める。
「オレらは13の時に、少年院で出会った。それが"極悪の世代"。」
首だけを後ろに回し、稀咲と半間を見る。
「望月莞爾(モッチー)の罪状は"公務執行妨害"。喧嘩を止めに入った警察官をボコボコにしたらしい。修羅ってんだろ?」
「……………」
「オモロ♥」
「武藤泰宏(ムーチョ)の罪状は"傷害"」
「あれ?なんかフツーじゃん」
「やられた相手は脊髄損傷で下半身不随だ」
「わお…え?車ではねたん?」
「コンクリートに投げつけられた」
半間の視線の先にはイヌピーと対峙するムーチョの姿がある。拳を突き出したイヌピーの腕を掴み、反対側に投げ飛ばすムーチョ。体が浮き上がったイヌピーは思いきり背中から地面に叩きつけられた。
「柔道か!」
「灰谷兄弟の罪状は"傷害致死"」
「それは知ってる。有名な"六本木灰狂戦争"だろ?」
「当時、都内最大の暴走族‹チーム›、六本木"狂極"。その総長と副総長と灰谷兄弟はタイマンを張った」
八戒とアングリーを相手にしている蘭と竜胆を見てイザナは話を続ける。
「結果、兄の蘭が総長を一瞬でノシて、弟・竜胆対"狂極"副総長のタイマンに乱入。竜胆に関節を決められてる副総長の顔面を必要以上に殴り続けた」
「……………」
「副総長は顔面陥没。頭蓋骨骨折で病院に運ばれたが、しばらくして…死亡」
「13にして灰谷が六本木のトップに立ったワケだ」
「極悪の世代が揃った天竺。東卍なんてどう足掻いたところで無駄。この抗争、天竺の勝ちだ」
イザナは勝ち誇った笑みで勝利宣言を口にする。
「お、勇者チャンはっけーん♥」
入り乱れた群衆の中から奇跡的に探し出した半間は、傷だらけになりながらも必死に戦うカノトを見て嬉しそうに口許を歪めて笑った。
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