第47章 12年後に死んでしまう君へ
「もう頑張れねぇだろ」
「こんだけオレらにボコられればな」
「諦めるしかねーんだよ!」
「……………」
すると首を締めていた腕から掴んでいた手が離れた。
「あン?」
それに気付いた男が不思議そうにカノトを見下ろす。
「……───天誅。」
「は?っ、ガハ……ッ!?」
男の腹部に肘打ちを食らわす。強烈な痛みが走り、男は締めていた首を離してしまう。
呼吸が出来るようになり、息を吸い込んだカノトは、振り向き様に片足を持ち上げ、男の首目掛けて、後ろ回し蹴りをお見舞いした。
ゴッ!!
首を蹴られた男は、グラリとバランスを崩し、そのまま横に倒れていった。
「……………」
殴られた頬はジンジンと痛み、触ると熱を持っていて、赤く腫れているのが分かる。カノトは無表情で冷たい眼を宿し、男達を静かに見据える。
「ひっ!」
その凍えるような冷たい眼に男達は怯え、情けない声を出す。
「な…なんだよ!顔殴られたくらいでキレ過ぎだろ!」
「テメェだって散々顔狙ったくせによ!」
「(こっちは女なんだよ。女の顔を殴りやがって…。)」
苛立ちが治まらず、ギリッと掌を強く握り締める。カノトは男達に近付き、目の前で足を止めた。
「あぁ?そんなボロボロで何する気だ?」
「睨んだだけじゃオレらは倒せねーぞ」
男達がニヤけた笑いを見せる中、カノトはゆっくりと両腕を上げる。そして男の顔の前でパンッと両手を合わせた。
「かっ……!?」
猫騙しを間近で食らった男は目をぐるんっと回し、気を失う。膝からガクンッと崩れ落ち、地面に倒れた男を見て、周りにいた天竺と東卍のメンバー達が驚いた顔を浮かべた。
「次。」
「は!?ちょ、ちょっと待っ…!!」
ゴッ!!
一気に間合いを詰め、回し蹴りで男を吹き飛ばす。ズザザザッと滑るように吹き飛んだ男は仰向けで倒れて気絶した。
「す…凄すぎんだろ宮村」
「芭流覇羅との抗争の時にも見たけど、アイツの強さマジでハンパねーわ!」
「さすが東卍の最終兵器…!」
"味方だと心強い"と改めて感心する東卍のメンバーだった。
.