第46章 東卍vs.天竺
「"勇者チャン"?誰だそれ?」
天竺四天王の一人であるモッチーが不思議そうな顔を浮かべながら半間に聞いた。
「オレの運命の相手♪」
「は?」
嬉しそうに声を弾ませて笑う半間の答えに、モッチーは訝しげに顔をしかめる。
「…イザナ。S62…極悪の世代と呼ばれたオレらが見失ってた夢。今度こそテメェが実現しろ。東卍はもう終わりだ」
幹部達を次々と失墜させ、総長と副総長がいない東卍に勝ち目はないと確信しているムーチョがイザナに言った。
イザナはコンテナの上に立ち、天竺メンバーに告げる。
「天竺はこの先、いよいよ一つ上のステップに行く。東京中の不良を抱えて、大人の闇社会に喧嘩を売る。ヤクザだろうがなんだろうが関係ねぇ。逆らう奴らは全部ぶっ潰して、オレらが日本の闇をすべて牛耳るんだ」
そう そして
その真ん中に
オマエが立つんだマイキー
とことん苦しませてやるよ
「東卍なんてマイキーがいねぇと何もできねぇチームだろ?」
「しかし誰も来ねぇとはな。つまんねー連中だな」
「いや……」
「?」
「"アイツ"は来るよ」
「は?なんの事だ?」
「シッ」
イザナの言葉を止め、稀咲は人差し指を口元に添える。すると遠くの方からバイクの排気音が聞こえた。
「!」
「…まさか」
「オイオイマジかよ!?」
その音はどんどん近付いて来るのが分かり、天竺のメンバーの誰かが声を張って叫ぶ。
「東卍が来たぞぉっ!!」
「全員整列!!」
千冬の号令にみんなが整列する。
「待ってたぜ、ヒーロー…」
稀咲がタケミチを見下ろす。
「稀咲の野郎は高みの見物か…」
「そういう奴さ」
「天竺を潰さねぇとアイツにはたどり着けねぇって事だな。とことん汚ぇ野郎だぜ」
「あの余裕そうな顔を崩したいね。エマちゃんを殺しておいて罪の意識も感じてないなんてクズ過ぎる。必ず天罰が下るよ」
憎たらしげに稀咲を睨む。
「天竺400人対東卍50人。この圧倒的な数の不利をどうするか!楽しませろよ?東卍!!」
「(イザナの言う通り、数では東卍が不利だ。天竺の強さはケタ違い。簡単には勝たせてくれない。でも…絶対に諦めない。)」
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