第46章 東卍vs.天竺
「みんななんだかんだ言ったってよ、東卍を愛してんだよナ」
ぺーやんが嬉しそうに笑う。
「千冬、カノちゃん。オレは…エマちゃんも場地君もマドカさんも救う」
「……え?」
「どうすればいいのかは分かんない。でもオレらのタイムリープ自体、ありえねぇ事だし、不可能はねぇハズだ。このままじゃ終わらせねぇ!!」
「僕も同じ気持ちだよ。エマちゃんも場地さんも兄さんもみんな救って、必ず幸せな世界に辿り着いてみせる」
「行くぞ!!」
一気に士気が上がり、気合十分の東卍は、天竺との抗争場所、横浜第7埠頭に向かった。
◇◆◇
2月22日 PM:9:55───横浜第7埠頭。
「今宵ここで歴史が変わる。その来賓として東京中の不良のトップを集めた」
花札の耳飾りがカランと音を立てて揺れる。
「新宿"音速鬼族"、吉祥寺"SS"、池袋"ICBM"、上野"夜ノ塵(ナイトダスト)"。他にも腕に覚えのある不良たちすべてだ」
両手を広げたイザナの前には不良界隈では名の知れた族のトップ達が顔中傷だらけで全員正座させられていた。
中には、"血のハロウィン"でレフェリーを任された阪泉や、上野を仕切っているガリ男もいて、腕の良い彼らでさえ、黒川イザナには全く適わなかった。
「ふがいねーな!!これが"今"のトップか!?」
「(黒川イザナ…こいつは…バケモンだ!)」
顔に返り血を浴びながら、手をプラプラと揺らし、今のトップ達に幻滅するイザナ。圧倒的なその強さに阪泉はイザナをバケモノだと悪態を付き、恐れた。
「イザナ!」
「!」
「10時を回った。もう東卍は来ねぇよ」
「そっか…」
鶴蝶の言葉に残念そうな声で呟く。イザナの後ろにある巨大なコンテナの上には天竺の幹部達が座っている。
「三ツ谷とスマイリーはオレと竜胆で片付けた。壱番隊はムーチョが。オマエの判断は賢明だったぜ?九井。」
「……………」
「そしてマイキーとドラケンは稀咲が潰した」
海を眺めながらコンテナの上に立つ稀咲の背に半間の愉しそうな声が浴びせられる。
「今頃、東卍の連中はお通夜みてぇになってんだろうなぁ。勇者チャンも悲しんでんのかな。見たかったなァ、勇者チャンの泣き顔♥」
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