第46章 東卍vs.天竺
「(うーわぁ…カノちゃんすげぇ挑発すんじゃん。顔は笑ってんのに目は笑ってねぇ…。美人怒らすとマジこわい…。)」
「なぁタケミっち…あいつ怒ると空気がピリつくのやばくね?しかもずっとニコニコしてんのに何故か頬んトコに怒りマークが見えんだけど」
「しっ!カノちゃんに聞こえんぞ!アイツああ見えてちょっぴり怒りっぽいんだよ。現代(みらい)でも色々あって、男に少し厳しいところあるし…」
体を寄せてコソコソと小声で話すタケミチと千冬。カノトはニコニコと笑いながら頬に怒りマークを浮かべさせ、文句を言ってくるメンバー達の言葉に苛立っていた。
「調子に乗んなよ宮村!!テメェもいつから東卍仕切るようになったんだよ…!!」
「つかさっきの言葉訂正しろ!」
「オレらは逃げるんじゃねえよ!今日乗り込まなくてもすぐに抗争(ケンカ)がまた始まるだろ!その時に総長と副総長が揃った万全の状態で天竺から売られた喧嘩買うんだよ!!」
「だから何でマイキーくんとドラケンくんの二人が揃ってからなんです」
「あーうるせぇなもう!!」
「テメェと話してたら埒が明かねえ!」
「その生意気な口をすぐに閉じろよ!あと幹部でもねぇテメェがオレらに指図すんな!」
「指図じゃなくて…」
「チッ、マジでうぜぇ」
「……………」
「ふざけんなバカヤロー」
「やってられっかよ」
言い合いが続く中、メンバー達はカノトの言葉に煩わしさを感じ、一方的に話を中断させた。苛立ったメンバー達を無表情で見つめるカノト。
「(まぁ…納得しないって分かってたけど。)」
「少なくとも総長が立ち直るのを待つべきだろうが」
「解散だ解散!!」
メンバー達が背を向け、ゾロゾロと帰り出す。
「まぁ、こうなるわな」
「全員に分かってもらおうとする方が難しいよね」
「みんなが正しいよ…。でも、今日引いたら稀咲の思う壷なんだ」
「で?どうするよ?」
「どうするも絶対に引けない。ここで諦めたら本当に終わりだから」
「だよな…じゃあ、三人で心中だな」
「!千冬…」
千冬がニッと笑い、タケミチとカノトは驚いた顔を浮かべた。
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