第46章 東卍vs.天竺
「私も君と一緒に戦ってるんだけど?」
「!」
「仲間外れは悲しいなぁ。ずっと二人で助け合いながら頑張って来たのに、君はまた一人で抱え込もうとしてる」
「カノちゃん…」
「私達は大切な人を救う為にこれからもずっと頑張り続けなきゃいけない。ここで諦めるワケにはいかない。そうでしょ?」
「あぁ…」
カノトは表情を和らげ、ふと小さく笑う。
「きっと東卍のみんなは納得しない。この状況で天竺に乗り込むなんて馬鹿げてるって思われるのがオチ。それでも私は君と一緒に行くよ」
「いいのか…?」
「大切な人にはずっと笑っててほしい。その為にはこの抗争を終わらせないとダメだ。これ以上の犠牲者を増やしたらダメだ。逃げずに真っ向から立ち向かおう。大丈夫、私達の"絶対に諦めない強さ"があれば必ずみんなを守れるよ」
「ハハ…ほんとすげェなカノちゃんは。オマエのそういう強さ憧れる。………、オレ達はこんな所じゃ終われねぇ。一緒に戦ってくれるか?勇者様。」
「当たり前じゃん。私はいつだって君に力を貸す。だからやってやろうよ、ヒーロー。」
勝気な笑みを浮かべるとタケミチも自信に満ちた顔でしっかりと頷いた。
「先に行ってる」
「うん」
横を通り過ぎて、タケミチは病院の外に出て行った。その場に残ったカノトは、マイキーの元へとゆっくり歩み寄る。
「……………」
目の前に立ってもマイキーは顔を上げない。それほど憔悴しきっているのだろう。カノトはしゃがみ込み、マイキーの手にそっと触れた。
「…万次郎くん」
声を掛けても無反応。冷たくなった手を温めるように両手で包み込むように握る。
「今から言うことは、独り言だと思って聞いてください」
「……………」
「私には、どんなに心を折られても、どんなに絶望の底に叩き付けられても、絶対に諦められない理由があります」
マイキーの手に視線を落としながら、静かに言葉を続ける。
「それは私の"やるべき事"の一つで、その"やるべき事"が終わるまで、何があっても絶対に、頑張る事を諦めないと誓いました」
「……………」
「でも正直…頑張る事を諦めそうになる時もあります」
.