第46章 東卍vs.天竺
「時間が掛かってもいいんです。エマちゃんの想いを支えにして…少しずつ前を向いて歩いて行ってください。ゆっくりと一歩ずつ…未来に向かって。」
ドラケンに自分のようになってほしくないと思い、励ましも込めて、言葉を伝えた。ドラケンがカノトの言葉を聞いていたかは分からないが、彼は何も言わず、病院の中へと戻って行った。
「……………」
立ち上がり、気を失っているマイキーの傍まで歩み寄ったカノトは、地面に座り込み、眉を下げ、切なげにマイキーを見下ろす。
「万次郎くん…貴方は…受け入れられなかったんだね。何もかも失って、何も受け入れられないから、堕ちていくしか…なかったんだね」
ピンクゴールドの柔らかい前髪に触れる。
「誰にも手を引いてもらえなくて…貴方はどんどん間違った道を歩んで…気付けば帰る場所すら見失って…正しい道に戻れなくなった貴方は…引き返すことが…できなくなってしまったんだね」
傷だらけの顔を人差し指の外側で優しく撫で、悲しげに瞳を揺らす。
「万次郎くんの気持ちも…ドラケンくんの気持ちも…痛いほど分かるよ。私もずっと…兄さんを失った世界で、たった独りで生きてきたから。それでもね…いつまでも落ち込んだ私を見せるのはダメだと思って、少しずつだけどゆっくりと…歩き始めたんだよ」
泣きそうな声で小さく笑う。
「絶対に諦められないの。私達は…大切な人を守る為に…生きた世界を取り戻す為に…精一杯、頑張らなきゃいけないから」
そう すべては
未来を変えるために───。
◇◆◇
武蔵神社────。
「おいおい、日が暮れちまったぞ」
「どういう事だよ?」
「まだ天竺乗り込まねぇのか?」
「早くおっぱじめてぇのによぉ」
天竺との抗争が始まる直前、東卍のメンバー達は武蔵神社に集結していた。
「千冬!マイキー君と宮村に連絡取れた?」
「いや…ダメだ。両方繋がらねぇ。」
「武道も…どうなってんだよ?」
そこへRZ350(ナナハンキラー)に乗った青宗が現れる。
「タケミっちとカノは!?一緒じゃなかったんスか?」
「ヤベぇ事になった…」
「え?」
青宗は千冬達にマイキー達に起きた出来事を伝えた。
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