第46章 東卍vs.天竺
ガラッ
「ドラケン君!!」
「……………」
数分後、霊安室から出てきたドラケンの顔は怖いくらい無表情で、覇気を失った眼は、虚ろさが滲み出ている。
「マイキー…ちょっとツラ貸せ」
「(ドラケンくん…?)」
ドラケンはマイキーに声を掛けると、何処かに向かって歩き出す。壁に寄りかかっていたマイキーもゆっくりと立ち上がり、先を歩くドラケンの後に続いて行く。
「タケミチくんは此処にいて」
「え?」
「ヒナちゃんが来る。その時にタケミチくんが傍にいてあげて。あの二人には私が着いて行くから」
一緒になって立ち上がろうとしたタケミチに静止を掛け、一人その場に残し、カノトは二人を追いかけて病院の外に出た。
◇◆◇
「何が起きた?」
「……………」
少し離れた場所から二人の様子を窺う。ドラケンの言葉にマイキーは何も返さない。すると突然ドラケンが、マイキーの顔を拳で殴った。
ゴッ
「!?」
「…オマエがいてなんでこうなる?」
静かに呟いたドラケンの声は怒りで満ちている。そんな姿を見てぞくりと体を身震いさせた。殴られてもマイキーは何も答えない。
「オイ…マイキー」
歯を噛み締め、怒りで体が震えるドラケン。
「何やってんだよ!?テメェはよぉぉ」
青筋を立てブチギレるドラケンがマイキーを責めているのを見て、カノトは慌てて弁解をする。
「私のせいです!!私が彼女の側にいれば守れたのに!!エマちゃんを死なせずに済んだのに!!私は彼女を救えなかった!!」
目頭が熱くなるのを感じた。
「私が助けなきゃいけなかったのに!!それが私の役目なのに!!彼女を守れなかった責任は私にあります!!万次郎くんのせいじゃない!!私のせいなんです…!!」
ギュッと胸辺りの特服を掴み、マイキーを庇うようにドラケンの背に語りかける。
「彼女を突き飛ばしてでも私が身代わりになれば良かったんです!!そうしたら二人が悲しむ必要もなかったのに!!ごめんなさい…エマちゃんを助けられなくてごめんなさい…!!」
ポロポロと涙が溢れ、視界がぼやける。
「だからドラケンくん!!責めるなら私にしてください!!万次郎くんを殴らないで…!!」
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