第45章 願う声は届かない

「ドラケンに伝えて。ケンちゃん愛してるって」



「………、自分で伝えろ。」



「………、タケミっち……」



「うん！」



涙を浮かべるエマは視線だけをタケミチに向ける。



「マイ…キーを…おねがい…ね？」



それを聞いたタケミチはぶわっと涙を溢れさせた。そしてエマの視線はカノトに移る。



「ねぇ…カノト…」



「っ、エマちゃん…」



「約束…して…ウチと…約束…」



「約束？なに？」



「マイキーを…守っ…て…独りに…しないで…あげて…。マイキーには…カノトが…必要、だから…」



「！！」



「傍にいて…支えて…あげ…て…。マイキー…から…どんなに…拒絶され…ても…突き放されても…マイキー…のこと…嫌いに…ならないで…あげて…」



「嫌わないよ…大丈夫。ずっと一緒にいるって、離れないって約束したから」



「…絶対、幸せに…なって…マイキーも…カノトも…二人一緒に…幸せ…に…ならないと…怒るから…ね」



「っ、う…ん…うん、わかったっ」



これが自分に向けられた最期の言葉なんだと知り、目に涙を浮かべながら頷く。



「マイキーの…こと…愛して…くれて…ありがとう…結婚式のスピーチ…約束、守れなくて…ごめん、ね…？」



最後まで約束を守ろうとしてくれてるエマの優しさに涙を流し、首を横に振る。



「ふふ…おかしい…な…一瞬…泣いてるカノトが…女の子に…見えた…そんな…はず…ないのにね…」



「！」



「この先も…ずっと…マイキーの…心の支えに…なってね…マイキーの…進む道を…照らして…マイキーの居場所は…カノトのところ…だから…迷子になっても…ちゃんと帰って来られる…ように…手を、繋いでて…あげて…」



「エマちゃん…」



「おねがい…ね？」



「うん…約束、絶対守るから…っ」



「…ありがとう」



「っ…………」



エマは涙を浮かべて安心したように微笑んだ。マイキーの首に回していた両手がストンッと力が抜けたように落ちた。



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