第45章 願う声は届かない
「次に『サムシングニュー』ね。"新しい物"を象徴するアイテムとして、ベールやシューズとか白い物を取り入れたりするの。それが未来への希望を意味するんだって」
「髪飾りでもいいみたいだよね」
「ほとんどの花嫁さんは新品のウェディングドレスを購入するのが多いらしいよ」
「(純白のウェディングドレスか…ヒナなら絶対に似合うし、可愛いに決まってる。)」
「なぁにタケミっち、まさかヒナとの結婚式を想像してるんじゃないでしょうね〜?」
「へ!?い、いやいやっ!!まっさか〜!」
ニヤけたエマに指摘されたタケミチは図星を突かれ、誤魔化すように必死に否定した。
「"借りた物"を身に付ける『サムシングボロー』には友達や知人の繋がりを象徴してるんだ。幸せな結婚生活を送ってる人からジュエリーやハンカチ、ティアラとかを借りて、幸せにあやかるんだって」
「幸せのおすそ分けっていいよねー」
誰との結婚式を想像してるのか、祈るように両手を組んだエマはキラキラとした眼差しで羨ましがっている。
「最後に『サムシングブルー』だね。結婚式で青い色を取り入れると幸運が巡ってくると言われてるんだ」
「青い色は清らかで汚れのない存在の花嫁を表した色なんだって。会場装飾とか比較的目立つ場所に青い色を取り入れるケースも多いみたいだよ」
「この4つのアイテムを身に付けると、幸せな結婚生活が送れて、花嫁の幸福はもちろんのこと、大切な人とずっと一緒にいられるようにって言う意味合いが込められてるんだ」
「(ヒナとの結婚式を挙げる時は参考にさせてもらおう…!)」
「だから楽しみにしててよね!ウチが4つのアイテムのどれかをカノトに贈るから!」
「うん、その時は楽しみにしてる。スピーチも是非ともエマちゃんにお願いするよ」
「お願いされた!」
「ちなみにタケミチくんは一発ギャグね」
「何で!?オレにみんなの前で恥を掻けと!?絶対にスベって空気悪くなるじゃん!」
ショックを受けるタケミチにエマとカノトは可笑しそうに笑った。
「(でも私だけじゃないと思うんだ、万次郎くんの心の支えになってるの。エマちゃんが側にいてくれるから万次郎くんは闇堕ちせずに───……)」
そこでハッとして気付く。
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