第45章 願う声は届かない
「毎日一緒ってわけじゃないです。というかクソつまんねーは余計なんですけど。」
「フッ…オマエほんと生意気だな。王のオレに下僕が楯突いていいと思ってんのか?」
「下僕じゃねーって言ってんですよ。貴方こそ相変わらずクソ王っぷりが滲み出てますね」
睨みを利かせれば、イザナは初めて会った時と同じような顔で可笑しそうに笑う。
「アイツがいねぇなら好都合だな」
「は?」
ツカツカとこっちに歩み寄って来たイザナにガッと腕を掴まれる。
「っ!?」
「このままオマエを攫う。オレの側近として居場所を与えてやるから、オレの為だけに生きろ」
「カノト…!!」
「イザナ!!そいつから手ぇ離せ!!」
「不用意に近付くなよ。コイツの腕、ポッキリ折られたくねェんだったらな」
後ろにいるタケミチとイヌピーを無表情で脅し、掴んでいる腕に力を加えれば、鈍い痛みでカノトが僅かに顔を歪める。
「アイツを利用してオマエを襲わせたのにまんまと逃げられやがって…。ちゃんと見張っとかねーから捕まえられねぇんだよ」
「まさか…半間に僕を拉致させたのは貴方だったんですか?」
「アイツはオマエに執着してたからな。オマエが一人になる隙を狙って拉致させて、そのまま天竺に入れるつもりだった」
平然と言ってのけるイザナの態度に苛立ち、キッと鋭い眼光で睨み付けた。
「いい加減にしろよイザナ。僕は東卍を裏切らないし、マイキーくんの傍を離れないって何度も君に伝えただろ」
「オマエの都合なんか知るか。オレはオマエが気に入った。天竺に来い、カノト。」
「絶対にお断りだよ」
「この腕、使い物にならなくさせてやろーか?」
「っ…………」
イザナが力を込めるとミシッ…と骨が軋む音がし、痛みで顔を歪めた。
「──そいつに触れんじゃねェよ。」
「!」
「マイキー君!!」
「え?何なに?」
ピリついた低い怒声が聞こえ、顔を向けると、特服の上から上着を着たマイキーがエマと共に真一郎の墓参りに現れた。
「へー、仲良く"兄妹"で墓参り?」
「そいつから手離せ。気安く触んな。」
「…万次郎くん」
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