• テキストサイズ

BRAVE You’re HERO【東リべ】

第45章 願う声は届かない



「天竺の奴らはどんな手も使ってくる!このままじゃ東卍は負けるぞ!!」



「(八戒くん焦ってる…。三ツ谷くんがあんな目に遭って、冷静を保てないんだ。)」



「見ろよ!!壱番隊はボロボロ!!弐・肆番隊の隊長はいねぇ!!参番隊隊長は不在!そして伍番隊!!奴らは裏切って今や天竺だ!」



「(…確かに隊長はほぼ全滅。東卍は今、満身創痍。この状態で天竺に挑んでも厳しい。迷いを断ち切らないと…勝機がきても見逃してしまう。)」



八戒の気持ちもカノトには分かっていた。自分の敬愛する人が傷付けられて、命の瀬戸際に立たされている。けれど、天竺と同じやり方で挑むのは間違っていると思った。



「(ダメだよ。怒りや憎しみを込めた喧嘩なんて…悲し過ぎる。武器を使って勝利を収めても…きっと三ツ谷くんもスマイリーくんも喜ばない。)」



「八戒の言う通りだ!」



「ここままじゃ東卍は負けちまう」



「だったら天竺のやり方に付き合おうぜ」



「武器持って奇襲だ!」



「そうだそうだ!」



「(武器使う時点で東卍も負けてる。天竺と同じレベルまで堕ちる。それだけは絶対にダメ。『最悪な未来』に繋がってしまう。)」



ヴァンヴァン



その時、高ぶる気持ちを抑え切れず、盛り上がる隊員達の騒音をかき消すように、バイクのコール音が派手に響き渡る。



「ぺーやん君…」



Z400FX(フェックス)のハンドルを片手で握るぺーやんが濁声で全員に言う。



「うっせぇなテメェら、勝手に盛り上がってんじゃねぇぞ。負けんのにビビって武器持って奇襲か?」



数秒の間を置き、再び口を開く。



「………、パーちんは、武器使って捕まった」



「!!」



「オレは逆恨みでドラケンを襲った。汚ねぇ手使って…。こんな俺にマイキーは言ったよ。"オマエとは争いたくない"。」



「……………」



「だからオレはここにいる…だから!今度こそマイキーに認められるような恥じねぇ喧嘩をしてぇんだよ!!」



誰よりも恥じる喧嘩をしてきたからこそ、ぺーやんは知っている。武器を使って勝つ事がどんなに姑息で卑怯なのかを。



そんなぺーやんの言葉に先程までザワついていたみんなの顔がぐっと引き締まった。



.
/ 1256ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp