第44章 つーかまーえた♪

「(あれだけ気持ち悪くて嫌だったのに、万次郎くんとキスしただけで一気に消えた。アイツの感触も、恐怖で震えた体も。)」



「カノさ、今回の天竺についてどう思う？」



「え？」



急に天竺の話題を振られ、狼狽える。下手な事は言えず、どう誤魔化そうかと悩む。



「そうですね…一番注意を払うべきなのはやっぱり黒川イザナでしょうか。喧嘩の実力は相当です。一筋縄じゃいかないと思います」



「喧嘩の実力は相当って…カノってイザナが喧嘩してるとこ見たことあんの？」



「あー…いえ、その…」



しまった…と思った時には遅かった。イザナと会った事はマイキーには伏せていた。それがついポロッと口から出てしまった。



「カノ、何隠してんの？」



「ひぇっ」



にっこりと圧のある笑みを向けられ、情けない声を上げてしまう。



「言え」



「やー…別に隠してるつもりは…」



「隠してるつもりねぇなら話せるだろ。正直に吐かねぇと…壁際に追い込んでえっちなことするけどいいよな？」



「！？」



「ほらこっち。」



本気で壁際に追い込もうとしているマイキーに焦り、カノトは正直に言った方が懸命だと判断し、イザナとの出会いを話した。



「───と言うことなんです…。」



「カノを天竺に…。もちろん断ったんだよな？」



「当たり前じゃないですか。でもイザナは諦めてないらしくて…どうしても私を天竺に入れたいみたいなんです」



「……………」



「万次郎くん？」



「オマエはいろんな奴から好かれるね。こっちが嫉妬で狂いそうになるんだけど。」



「私は万次郎くんだけですよ」



「知ってる。イザナにオマエを渡す気はねえよ。天竺にやるつもりもねぇ。オマエは東卍の仲間で、オレの愛する女だ。ちゃんと守る。心配すんな」



「心配はしてませんよ。だって私は万次郎くんの傍から離れるつもりないですから。ずっと貴方と一緒にいます」



ふわりと笑えば、マイキーも同じように笑い返す。