第44章 つーかまーえた♪
「わ…わたし…ふ…うぅ…ごめんな…さい…ひっく…万次郎くんのこと…裏切っちゃった…ひっく…」
えぐえぐと嗚咽を漏らしながら泣くカノトは頬を包み込んでいるマイキーの腕を両手で軽く掴む。
「!」
その時、カノトの手首に強い力が加わって付いた跡を見つけ、驚いたマイキーが頬から手を離し、カノトの手を取る。
「この跡どうした?」
「……………」
「こっちの手も。縛られたっぽい感じには見えねーけど…赤くなってんじゃん」
「…………っ」
「オマエさ、今までどこにいたの?」
「…嫌いに…ならない、で…」
「え?」
「ひっく…嫌いにならないで…っ」
ギュッと目を瞑り、涙を流しながら泣き続けるカノトを、マイキーは優しく抱き寄せ、慰めるように背中をぽんぽんっと叩く。
「嫌いになんないよ。カノのこと大好き過ぎて嫌いになる暇ねーもん。だから安心しろ。心の底から本気で愛してるよ。」
それを聞き、愛おしさで別の涙も溢れ出しそうだった。
「オマエがそんなに泣いてんだ。きっと怖い思いをしたんだろうな。でも…オレがいるからもう何も怖くないよ。だから何があったか、ゆっくりでいいから話せる?」
小さく頷いたカノトは一つ一つ、ゆっくりと語り始めた。公園で白猫を助けた後に半間に襲われたこと、無理やりキスされたこと、やっとの思いで逃げ出せたこと。包み隠さず全部、マイキーに話した。
話終えるとマイキーは何も言わず黙っている。カノトが話している最中も半間に襲われた辺りから、マイキーが相槌を打たなくなり、やっぱり怒ってるんだと悲しくなった。
「(何も…喋ってくれない…)」
顔を伏せたまま、一言も発しないマイキーに幻滅されたと勝手に思い込んだカノトは震える手でマイキーの手をぎゅぅっと握る。
「ごめんなさい万次郎くん…必死に抵抗したけど…私の力じゃどうすることもできなくて…お願い…嫌いにならないで──ンッ!?」
突然の不意打ちの口付けに驚いて目を見開いた。ビクッと体を震わせると握っていた手を絡められ、存在を確かめるようにギュッと繋がれる。
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