第44章 つーかまーえた♪
「(他の男と唇を重ねたって知ったら、万次郎くん、私のこと嫌いになるかな…。)」
《カノ?聞いてる?》
「はい…聞いてます」
《…何で泣きそうな声してんの。》
「え?してました?」
《ウン。オレが原因なのもあるかも知んねーけど、オレ以外にも原因あるだろ?》
「っ…………」
《オレのいないところで一人で泣くなっつったよな?カノが泣いてても慰めてやれねーんだけど。》
「万次郎くん…」
その時、コンビニから出てきた男が携帯で誰かと通話している声が聞こえた。近くで車も走っているせいで、上手く聞き取れない男の声が更に大きくなり、それは電話越しのマイキーの耳にもしっかりと届いていた。
《なぁ、男の声すんだけど。オマエ今どこにいんの?》
「え!?」
《家って感じじゃねーよな。今の男、マドカさんの声でもなかったし。もしかして外にいんの?》
「ちょっと…コンビニに…」
《……………。》
そこでマイキーが無言になったことで、カノトの額に冷や汗が浮かぶ。その後、電話越しから"ハァー…"っと呆れたような溜め息が聞こえた。
《迎えに行く。場所ドコ?》
「だ、大丈夫です!もう夜も遅いですし、万次郎くんの手を煩わせるわけには…!」
《大丈夫って、何を根拠にそう言ってんの?こんな夜遅くに女一人で外出歩いて、誰かに襲われたりでもしたらどうすんだよ。》
「(ガチで怒っていらっしゃる…。)」
《何かあってからじゃ遅いんだぞ。前にも言ったよな?危機感持てって。オマエがオレの前からいなくなるようなことがあれば…》
「万次郎くん…ごめんなさい」
《オレを置いていかないでよカノ。オマエを失ったら…オレはオマエのところに帰れなくなるだろ?》
「置いていきませんよ。万次郎くんが道に迷わないように…ちゃんと私の所に帰って来れるように手を繋いでるんですから」
《その手が離れたらオレも困る。もう二度と離さねぇって決めたんだ。だからカノの所に行きたいんだよ。場所、教えて?》
「×××のコンビニです…」
《すぐ行くから動かず待ってろよ。》
そう言ったマイキーはプツッと通話を切った。
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