第44章 つーかまーえた♪
「(万次郎くん…青宗くんの前でなんて恥ずかしいことを…)」
自分の知らない所でそんな話が交わされていた事に気恥しさと申し訳なさでいっぱいになった。
「マイキーはオマエが好きなんだな」
「えっ…えーと…どうかなぁ。他の人達よりは気に入られてると思うけど…はは…」
「オマエは好きなのか?マイキーのこと。」
「そ…れは…」
「(カノちゃん頼むから上手く誤魔化せよ!イヌピー君にまで女だってバレたら、マイキー君の機嫌が損ねちまうかも知んねぇ…!)」
タケミチが目で訴えてくる。"わかってるよ…"と目で訴え返す。
「僕は男だよ?さすがに恋愛感情はないけど…放っておけない人だなとは思ってる」
「……………」
「(青宗くん…何か考えてる…)」
何かを考える様子で黙り込むイヌピーに内心ヒヤヒヤしていた。
「カノト」
「何?青宗くん。」
「マイキーよりもオレを見てくれ」
「へ!?」
「アイツがオマエのことを意地でも離したくねぇのは分かった。でも良い気分はしない」
「…えっと…青宗くん…?」
「だからオレにも興味持て。」
まるでマイキーに対して嫉妬しているようにも見えたが、カノトはそれに気付かず、真剣な表情を向けるイヌピーに戸惑った。
「(もしかしてイヌピー君って…カノちゃんのこと…)」
きっと本人に自覚はない。その感情の名前さえも知らないだろう。だが誰よりもカノトのことを病的に愛しているマイキーだからこそ、自分以外にもカノトに好意を向けている相手が存在すると知れば、容赦なくその牙を剥き出しにするだろうと思った。タケミチはダラダラと冷や汗を流す。
「わ、わかった…」
「ん。」
「(分かっちゃダメでしょカノちゃん──!?)」
焦るタケミチとは裏腹に、カノトの言葉に満足そうに頷いたイヌピーだった。
「伍番隊が裏切った事とココ君を奪還する事をマイキー君にも伝えねーとな」
「そうだね」
「とりあえず明日、壱番隊の奴らにも声掛けて、マイキー君に話してみよう」
カノトとイヌピーは頷き、その日は解散する事となった。
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