第5章 ミッション失敗…?
「えぇ〜…流石にそれは断るよ。僕だって行きたい人は自分で決めるし」
「でもまだ誰からも誘われてないんでしょ?」
「まぁ…そうだね」
「カノト君は優しいよ。確かに休み時間とかいつもカノト君の周りに女の子達はいるけど」
「ヒナちゃん、それ何のフォローにもなってない」
「今年は誰か誘ってみたらー?」
「一緒にお祭り行きたい人いないの?」
「えー…あー…」
二人からの質問に答えづらくて視線を差迷わせる。一緒に行きたい人はいるといえばいる。でも現在その人とは喧嘩中なのだ。
「あれ!?」
「ようエマ」
エマの興味がマイキーとドラケンに移る。
「え?仲直りしたの!?」
「エマうるさい」
あれだけ喧嘩していた二人がいつの間にか仲直りしていたことに驚くエマ。
「あんなにケンカしてたのに!?」
「してたっけ」
「知らね」
「心配したんだからね!」
自分から興味が外れたことにホッとしたカノトは立ち上がる。
「そろそろ帰るね」
「え?ひとりで平気?」
「うん」
「誰かに送ってもらった方が…」
「まだ明るいし大丈夫」
タケミチに手を振り、公園を出る。その様子を遠くで見ていたドラケンが頭の上でバランス良くボールを操るマイキーに声をかけた。
「マイキー」
「んー?」
「カノ帰るみたいだぞ」
「…だから?」
「送ってやった方がいいんじゃねーの」
「ひとりで帰ればいいじゃん」
「……………」
素っ気ない態度のマイキーにドラケンは面倒臭そうに溜息を吐く。
「このままだと本当に嫌われちまうかもなー」
「は?」
頭から落ちてきたボールを手で受け止め、驚いた顔でドラケンを見た。
「何でオレがアイツに嫌われんの?」
「嫌われないとでも思ってんのか?今回の件でアイツを怒らせたのはオマエだろ」
「……………」
「オマエが必要以上にアイツを怖がらせたんだよ。震えてたの知ってただろ?」
ドラケンの言葉に何も言い返せない。
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