第5章 ミッション失敗…?
「アイツを傷付けるような事言って、しまいには“メンドくせぇ”だもんな」
「う……」
「怖がらせて、傷付けて、拒絶して、怒らせて。もうオマエの顔なんか見たくねぇって思ってんだろーな」
「だから…オレのこと見てくんねーの…?」
「かもなー」
「…そんなの、絶ッ対ェやだ。アイツは…オレのことだけ見てればいい。オレしか…見てほしくない…」
マイキーがポロッと本音を零した。
「なぁマイキー。カノが言ったとおり、大事なものを失ってから後悔しても遅い。アイツの存在が大事になりかけてンなら、尚更このままじゃダメな事くらい分かってんだろ?」
「……………」
表情を沈ませたマイキーは、視線を地面に落とす。ドラケンはそんなマイキーを優しく諭す。
「タイミング間違えると一度広がった溝は簡単には埋まんねぇし、お互い一生気まずいままだぞ」
「ケンチン…オレ…」
「仲直りしてぇんだろ?」
「うん…」
「じゃあ謝ってこい」
「…そうする。ありがとケンチン」
ボールをドラケンに渡すとマイキーはカノトを追いかけた。
「はぁー…アイツら二人とも世話が焼ける。素直じゃねぇのはお互い様かよ」
腰に手を当て深い溜息を洩らす。
「けど…まさかマイキーがあそこまでアイツに入れ込んでたのは意外だったな。ま、男同士でもアイツらならいけんだろ」
“ったく…メンドクセー”と言いつつも、結局は二人が心配でお節介を焼いてしまうドラケンなのであった。
✤ ✤ ✤
公園を出て家までの道を歩いていたカノトだったが、いつの間にかマイキーまで一緒に着いて来ていた。
「……………」
少し離れた距離で後ろを歩くマイキーの存在を背中で感じながらカノトは困っていた。
「「……………」」
何も喋らないまま、前後で歩く二人。マイキーは視線を地面に向けたまま、寂しそうな表情を浮かべている。
「(気付いたらマイキーくんが追いかけてきたけど…何も話しかけてこない。ずっと後ろで歩かれるのも気になる…!!)」
モヤモヤしてるのも嫌なので、カノトは立ち止まり、バッと後ろを振り返った。
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