第44章 つーかまーえた♪
「このバイク屋で初代の先輩たちから、よく昔の話を聞かされた。みんなすげぇー楽しそうに話すんだ。総長だった真一郎君の事。そんな時決まって真一郎君は」
『そんな事あったっけ?』
「って、気まずそうに、はにかんでた。なんかいいだろ?大人になっても昔やったバカな事、笑いあえる仲間。」
羨ましそうにイヌピーが微笑む。
「そんなチームに憧れた。だから黒龍に入ったんだ。オレが入った頃の黒龍は八代目、黒川イザナの代だった」
「!」
「最悪だったよ。」
そう発したイヌピーの言葉の重さに二人はゴクッと息を呑む。
「八代目、九代目は、ゆすり、強盗、薬、なんでもありの極悪チーム。もはや初代の志は影も形も残ってなかった」
「……………」
「そしてオレもいつの間にかチームの色に染まっちまって、年少に入り、出てきた時には黒龍は潰されちまってた。焦ったよ。黒龍が途絶えちまうって。そして…柴大寿を頼った」
「(でも結局、柴大寿が総長を継いだ十代目黒龍も、最恐最悪の殺人集団となってしまった。)」
「あとはオマエらも知ってる通り」
「……………」
「オレは…何をしてたんだろうな…」
「…イヌピー君」
「(君は…真一郎さんがいた頃の黒龍を取り戻そうとしているんだね。初代の人達が守ってきた黒龍を…無くさないために。)」
「オレは…救いたい人がいるんです。その為にずっと頑張ってきた」
「!」
タケミチくん…?
「でもオレ全然ダメで…何やってんだろうって。でも、だから、わかりますよイヌピー君の気持ち」
タケミチは立ち上がり、そして告げる。
「オレが黒龍を継ぎます」
「え!?」
「東京卍會壱番隊隊長 兼 十一代目黒龍総長です」
強い意志を込めた眼差しでイヌピーに手を差し出す。
「覚悟してください。オレはココ君を連れ戻し、稀咲とイザナをぶっ飛ばして、天竺を潰す!ついて来れますか?」
「この命、オマエに預ける」
それに答えるようにイヌピーはタケミチの手を取った。そんな二人を見てカノトは立ち上がり、イヌピーに言う。
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