第44章 つーかまーえた♪
「一くんは僕も守るために…。ねぇ伍番隊の隊長って、どうしてそこまでイザナに尽くすの?」
「アイツは…ムーチョ君は元々、黒川イザナ達の仲間で、少年院で出会った6人"極悪の世代"だったんだよ」
「イザナの仲間…!?」
「天竺の創設メンバーでもあるしな」
「!」
ちょっと待って
"極悪の世代"ってことは…
「("S62"!?)」
S62世代はまとまるはずのない極悪世代が一つになって創られたチームだ。"黒川イザナ"、"望月莞爾"、"灰谷蘭"、"灰谷竜胆"、"斑目獅音"がS62世代と呼ばれている。そして最後の一人が伍番隊隊長である"武藤康弘"だった。
「だからイザナとも知り合いなんだね。じゃあ伍番隊は東卍を裏切ったってわけだ」
「カノト…」
「イザナ…本当に許せない。マイキーくんを潰す事だけが目的なんじゃないの?一くんの"力"も利用して、イザナは何をしようとしてるの…?」
「ココ君の"財力"、稀咲の"ブレーン"、そしてマイキー君の"カリスマ性"。それを駆使して最強の"犯罪組織"を創ることが黒川イザナの目的なんだ」
「そんなの…まるで…」
現代(みらい)の東卍だ──……
「もちろん連れ戻すんだよね?一くんは殺されるワケじゃない。天竺は彼を利用したいだけ、最悪の犯罪組織を作るために。一くんのいる場所は僕ら壱番隊の所だからね」
「カノト…」
「当たり前だろ。ココ君もイヌピー君も壱番隊の隊員で、オレらの仲間だ!」
「うん」
そして救急箱から傷薬と湿布を出し、イヌピーの方に体を向ける。
「青宗くん、適当に手当したでしょ。まだここにも傷ができてるよ。ちゃんと応急処置しないとバイ菌が入って大変なことになる」
「…こんなの大した怪我じゃねぇ」
「ボロボロのくせに何言ってるの。こういうのは本当にちゃんとしないとダメなんだよ」
塗るタイプの傷薬を指先に適量取り、怪我をした箇所に塗っていく。イヌピーはそれをじっと見つめている。
「手際いいな」
「慣れてるからね」
「慣れるほど手当してんのか?」
「色々大変なんだよ」
詳しくは語らず、小さく笑って見せる。
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