第44章 つーかまーえた♪
「ココは…一緒じゃない。オレらを守るために…天竺につくことを選んだ」
「っ………!」
「ムーチョ君の本当の目的は…オレらを人質にして、ココ君を天竺に引き込むことだったんだよ」
「どうして一くんを!?天竺にとって彼は何かの利用価値があったってこと!?」
「あぁ。カノト、どうして大寿君がココ君を黒龍に引き入れたか、分かるか?」
「え?急に何…大寿って、柴大寿?彼が一くんを黒龍に引き入れた理由…?」
タケミチにそう言われ、大寿がココを求めた理由を必死に考えるも思いつかない。それを見てイヌピーが口を開いた。
「オレが昔、柴大寿の下についてたのは知ってるだろ?」
「…うん」
「オレは黒龍再建の為に大寿の"力"を利用した。そして大寿が見返りに求めたのは"九井一"の黒龍入りだった」
「どうして大寿が一くんを…?」
「ココ君は金をつくる天才だからだ」
「!」
「"財力"。イザナが今もなお利用したいのはその"力"だ。大寿もココに金をつくる力がある事を知っていた」
「…だから一くんの"力"を利用するために、タケミチくん達を人質にして、断れない状況を作って、無理やり天竺に引き込んだのか」
改めて伍番隊のやり方に嫌気が差した。伍番隊というよりもムーチョにだ。彼は卑怯な手を使って、ココから"断る"選択肢を奪った。
「(お金を生み出すのが上手なのは大寿じゃなくて一くんだった。確かに…どの現代‹みらい›には一くんがいた。まさか彼が現代‹みらい›の東卍の"お金"を握っていた男だったなんて…。)」
「それともう一つ、ココが天竺について行った理由がある。…オマエだ、カノト。」
「え?僕?」
「ムーチョはオマエも天竺に引き込もうとしていた。"黒川イザナの側近"として。」
「イザナの側近に…。死んでも御免だよ。というか本当にしつこいなイザナの奴。僕はマイキーくんを裏切れないのに。まだ僕を天竺に勧誘すること諦めてなかったのか…」
うんざりするように溜息を吐いた。
「ココはもちろん反対した。オレらもだ。けどムーチョは譲らなかった。もし従わなければオマエを嬲り殺しにするとまで言いやがった。それもあってココは天竺について行く事を決めたんだ」
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