第44章 つーかまーえた♪
「勇者チャンが俺を嫌いでも構わねぇ。その分、俺が勇者チャンをたくさん愛す。だからずっと一緒にいような」
狂気の孕んだ眼を宿し、病んだように歪んだ笑みを浮かべた半間の顔がゆっくりと近づいてきて───……
「やめっ……んんッ!?」
怯えるカノトの唇を奪った───。
「(何…何でキスされてるの?)」
思考が停止していると、歯列を割って侵入してきた半間の舌に驚いて全身をぞわりとさせた。
「ん"ん"〜!!」
顔を逸らそうとすると痛いくらいに顎を掴まれ、無理やりねじ込まれた舌は逃げるカノトの舌を追いかけ、絡めてくる。
「はッ…や、だ…んッ…んぅぅ…ッ」
「はぁ…勇者チャンとの念願のキス。すげぇ甘くて…めちゃくちゃ興奮する」
「やめ…て…んん…ッ…」
「ヤミツキになりそー」
「(気持ち悪い…!!万次郎くん以外の奴にキスされるなんて…気持ち悪い…!!)」
体の自由が利かず、半間の好きなようにされるカノトは眉を寄せ、悔しげに涙を滲ませる。
「(コイツにキスされるのは二度目だ。それも今みたいに無理やり。ホテルのベッドに私を押し倒して…体の関係を迫ってきた。)」
あの時は一虎が助けに来てくれたおかげで関係を持たれる事は免れたが、今は誰もこの状況を助けてくれる奴はいない。
「はぁ…い、や…だ…んふ…ンン…」
体が恐怖で小さく震え出す。半間は執拗いくらいにキスを交わし、気持ち悪さと悔しさで涙を浮かべるカノトの拒絶の言葉にも耳を貸さず、一方的に愛をぶつける。
「(助けて…万次郎くん──。)」
コンコンッ
「!」
マイキーに助けを求めた時、外からドアをノックする音が聞こえ、半間はピタッと止まる。カノトも涙を浮かべながらノックがしたドアの方に視線を向けた。
「イザナが呼んでる。オレとお前に話があるそうだ。とっとと行くぞ。」
稀咲の声がした。
「チッ…いいところで…」
「……………」
「もう少し勇者チャンとの時間を楽しみたかったのに」
残念そうに呟いた半間は上体を起こし、両手を拘束している手を離すと、半間は涙を滲ませながら鋭く睨みつけているカノトに笑いかける。
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