第44章 つーかまーえた♪
「おかしいのは勇者チャンの方だろ。何で俺を好きにならない?何で好意を無視する?こんなにも勇者チャンのことで頭がいっぱいで、狂っちまうほど好きなのに」
「だから君の想いには答えられないって言ったでしょ!?私は万次郎くんのモノなの!!」
「なぁ勇者チャン、一応聞くけど。」
「!」
「まさかもうマイキーとヤッてるとか…言わねえよな…?」
「なっ……!!」
突然の不意打ちに思わず顔を紅くした。
「その反応…マジで処女じゃなくなった?」
「っ………!!」
「……………。」
照れるカノトを見た半間は冷たい眼を宿す。
ギリッ
「痛ッ」
頭の上で手首を掴んでいる半間の手に力が込められ、鈍い痛みで顔をしかめる。
「…マイキー殺す。」
「!?」
「勇者チャンの"ハジメテ"を奪いやがって…」
「い、痛い…!!」
「あー…わり。無意識だったわ。ごめんなぁ痛かったか?」
ごめんと謝る割に全然反省していない様子に見える半間の笑みにカノトは恨めしげにキッと睨みつけた。
「ほんとズリィなマイキーは…」
「もう…解放してよ」
「解放?するわけねーじゃん。せっかく捕まえたんだから。また逃がして追いかけンのも大変なんだよ」
「(…どうしたらいいの。この男から逃げるには…どうするのが正解なの?)」
「これはもういらねえよな」
そう言って半間がカノトの首に掛けられたネックレスのチェーンに指を引っ掛け、服の中から出てくる指輪を奪おうとする。
「やっ!!触らないで!!」
「必要ねーだろ?代わりに俺が勇者チャンに一番似合う指輪プレゼントしてやるから」
「いらない!!それに触らないで!!私と万次郎くんを繋げてくれる唯一の証なの!!」
「ならその繋がりを無くす」
「ダメ!!」
指輪を見た半間が不愉快そうに顔を歪める。手足をバタつかせて暴れるも、半間に馬乗りにされているせいで、身動きが取れない。
「こんな繋がり一つでアイツは勇者チャンを手に入れたつもりか…」
苛立ちを浮かべた半間は指輪から手を離す。それに酷くホッとしたカノトは安堵の表情を浮かべた。
.