第44章 つーかまーえた♪
「(彼が…白猫を助けてくれた人…)」
『───修二。』
「!!」
『俺の名前、修二。半間修二だ。ちゃあんと覚えろよ、勇者チャン』
「("勇者チャン"…あぁ、そうだ。彼が私をそう呼ぶから、"いいよ"って許可したんだっけ。)」
『よろしくね、修二くん!』
『よろしくなァ、勇者チャン♥』
ふと甦った昔の記憶。今まで少年の顔も名前も思い出せなかったが、半間を見るとあの少年の面影が残っている。
「(…間違いない。あの時の男の子は半間だ。白猫さんが親猫の元に帰った後でも私達はあのベンチに座って他愛ない話をしていた。……信じられない。こんな偶然ってある?それとも半間の言う通り、本当に運命に導かれて再び出会った…?)」
「その顔、やっと思い出してくれたんだなァ。嬉しいぜ勇者チャン。こうしてまた会えたんだ。これを運命以外になんて呼ぶ?」
「…執拗いな。君との運命は信じないって言っただろ。僕は君には捕まる気はないよ」
「勇者チャンもすげー粘るじゃん。とっとと俺に堕ちた方が楽になんのに。それ程までにマイキーの存在がデケェのか?」
「万次郎くんの傍にいることが私の幸せ。彼と一緒に幸せになるって約束した。もう二度と離れないって決めたの。だから…悪いけど私のことは諦めて。」
口調を戻し、"カノ"として半間に諦めてくれるように頼み込む。
「…"万次郎"?勇者チャン…アイツのこと下の名前で呼んでんの?俺のことはガキの頃しか呼んでくれなかったくせに…?」
「!」
ピリついた空気が漂った。
「なぁ…俺のことも名前で呼んでくれよ。昔みたいに『修二くん』って。つーか、もう呼ぶようになるか。だって勇者チャンは…俺の愛を受け入れて、俺しか目に映らなくなるんだからな」
「君の愛はいらない!!私は大好きな人の…愛する人からの愛だけが欲しいの!!」
「だからやるよ。"愛する人からの愛"。俺が勇者チャンにたーくさん与えてやるから」
「私は君なんか愛してない!!勝手に好意を向けられても困る!!」
「?勝手じゃないだろ?だって勇者チャンは俺を愛してくれてる。マイキーよりもずっと俺だけを見てくれてる。」
「いい加減にしてよ!!自分がおかしいって気づいてないわけ!?」
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