第43章 執着は時として狂愛に
「俺らとやろうってのか?」
「マジかよ!一人で相手にするとか俺達のことナメ過ぎじゃね?」
「ザコ過ぎてナメれねーわ♥」
「テメェ…!」
挑発する少年に、ピキっと青筋を立てて睨みつける三人。
「上等だこの野郎!そこまで言うなら相手になってやるよ!」
「テメェの方がザコだってこと思い知らせてやるからな!」
「覚悟しとけ…!!」
「負け犬の遠吠えっつーんだよなァそういうの♪」
「クソ…調子に乗りやがって」
「マジでぶっ飛ばしてやるからな」
カノの側にいた二人も離れ、少年と向き合う形で対峙する。
「あー…やっぱダリィ。…けど、愉しませてくれんなら多少ダリィことでもいいか♪」
余裕たっぷりにニヤリと笑った少年に三人は一気に襲いかかった。
「すごい…」
少年は拳や蹴りをお見舞いしてくる三人の攻撃を軽々と躱し、気付くと全員、地面に伏し、瞬殺していた。余りの強さに驚きを隠せないカノは、唖然とする。
「もう終わりかよ。あんだけ余裕ぶっこいといて瞬殺とかダサ♪本気出すまでもなかったな♪」
「すごいね!」
「あ?」
「あなたとっても強くてビックリしちゃった!助けてくれてありがとう!」
「……………」
「コイツらより年下なのに一瞬で倒しちゃうなんて本当にすごい!」
「コイツらがザコ過ぎただけだろ」
"それでも凄いよ!"と興奮気味に話すカノを無表情で見る少年は、つまらなそうに"あっそ"と素っ気なく言葉を返す。
「お前、怪我してんだろ。早く傷口洗わねぇとバイ菌入んぞ」
「…この程度の怪我、平気だもん」
「さっきは痛くて泣いてたのにか?」
「な、泣いてないよ…!」
"見られた!"と恥ずかしさを隠しきれないカノはバレバレの嘘を吐く。そして白猫に歩み寄り、しゃがみ込む。
「もう大丈夫だよ白猫さん!悪い奴らはこの人がやっつけてくれたからね!」
「…にゃー」
「わぁ!鳴いた!」
「猫なんだから鳴くだろフツー」
少年から呆れたようなツッコミが入る。
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