第43章 執着は時として狂愛に
「(これだから命を軽率に考えてる馬鹿は…。)」
「いいからその猫置いてどっか行けよ。せっかくの遊びが台無しになんだろうが」
「それともテメェもその猫と一緒に"的"になるかぁ?」
「俺達に逆らったらどうなるのか教えてやるよ!」
「(調子に乗ってるバカ共にお灸を据えるべきか。)」
少年達の素行の悪さに心底呆れ返り、盛大な溜息が零れた。
「年下に瞬殺されて情けない姿を晒したくなければ、今すぐ此処から消えろ。もし従わないなら…問答無用で天誅する。」
スッと冷たい眼差しを向ける。
「従うわけねーだろうがバァーカ!」
「俺達がお前に負けるなんてありえねえな!体格も力も違うんだぜ?やる前から勝ったみたいなもんじゃん!」
「それに瞬殺されんのはテメェだ。たった一人で俺ら相手に勝てるって本気で思ってんのか?あんま年上ナメんじゃねーぞ!」
「……………」
「どうした?まさか今更怖気付いたわけじゃねーよな?」
「いいや。キミ達の馬鹿さに呆れてた」
「ンだと……!!」
「やる前に一つ聞くけど。"本気の喧嘩"をしたことは?」
「は?」
「本気の喧嘩?」
「ムカつく奴を殴ったり、喧嘩吹っかけて来た相手をボコボコにしたことはあるけど…」
「…なぁんだ。その程度の喧嘩、僕達の世界じゃ"喧嘩"とは呼べないな。もっと命を掛けるくらいの本気の喧嘩をしないと」
「どういう意味だよ…?」
決して脅したつもりはないが、カノトが放つ気迫にビビったのか、たじろぐ少年達。
「体格や力が違くても決して敵わない相手もいるってことだよ。僕はキミ達より年下で体格も年齢も違うけど、絶対に負けない自信がある。この子を守る為に僕は戦う。」
"ちょっと大人しくしててね"と腕の中の白猫に言い、少年達に顔を戻す。
「なぁコイツ、あの猫を守りながら俺達とやるつもりだぜ?無謀じゃね?」
「無謀っつーか、マジでバカだろ!」
「その余裕、崩したくなるんだよなあ!!」
馬鹿にするように笑った少年達が一斉に襲いかかって来る。
「(両手は塞がってるけど三人ならいける。)」
焦らず冷静に、三人の動きを確かめ、優先順位を決めた。
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