第42章 閉ざされた未来と託された希望
「今日何があったかとかそういうのばっかりだ」
「………、これが多分、一番最初の手紙だ」
「え?」
「ドラケンくん、読んでください」
「"拝啓、真一郎様"、"この前は訪ねてきてくれてありがとう"、"家族がいて嬉しい"。」
「(真一郎君から会いに行ったんだ!)」
「きっとどこかでイザナの存在を知ったんだろうな」
「……………」
「?マイキーくん、どうかしました?」
話に加わらず、手に持っている手紙を真剣な表情で読んでいるマイキー。その様子に違和感を感じたカノトが隣に座っていたマイキーに話しかけると、静かに口を開いた。
「なるほどね」
一言そう呟いて立ち上がる。
「マイキーくん、どこに…」
「ちょっと風に当たってくるわ」
「あ、なら僕も一緒に…」
「悪い。一人にして。」
「!」
素っ気なく拒絶され、立ち上がろうとした体がピタッと止まる。マイキーは無表情を浮かべ、一人、部屋を出てバブを走らせた。
「……………」
「今のはオマエに対して機嫌損ねたんじゃねーからな。これくらいで落ち込むなよ」
「…はい、大丈夫です」
ドラケンが悲しそうな顔をするカノトを慰めるように頭にポンッと手を置いた。
「(少し様子がおかしかった…。万次郎くんに突き放されると、少しだけ心が痛む…)」
「どうしたんだろ?マイキー君。普段はカノちゃんにあんな冷たい言い方しないのに…」
「……………」
マイキーの座っていた場所に残された一枚の手紙。ドラケンはそれを拾い、内容を口に出して読み始める。
「"拝啓、真一郎様"」
「!」
「"最近ずっと頭が痛い"、"苦しい"、"きっとアイツのせいだ"。」
そこまで言うとドラケンは顔を固くさせる。そして続きを読み上げた。
「"万次郎の話はもうしないで"」
「っ…………」
文字に込められた言葉に何故か憎悪みたいなのを感じて、背筋をぞっとさせる。
「(これを…万次郎くんは読んだのか…。)」
「………、黒川イザナは幼くして家族に捨てられた。そして初めて自分を訪ねてきてくれた真一郎君っていう家族…それがコイツの唯一の支えだったとしたら」
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