第42章 閉ざされた未来と託された希望
ドクンッと心臓が跳ねる。
「マイキーはどう思うんだろうな?」
「(確かに。真一郎君から黒龍を受け継いで、だけど黒龍はマイキー君の為に残したと言われた時、黒川イザナは何を想ったんだろう?)」
「きっと激しい嫉妬が渦巻いたんじゃないかと思います」
マイキーを心の底から憎んでいる───イザナの気持ちを汲んだ訳ではないが、今までのイザナと出会ってそう感じた。
「嫉妬…?」
「オレもそう思う」
「…ドラケンくん」
「マイキーへの激しい嫉妬と恨み」
「(初めて会った時、骨が折れるんじゃないかってくらい、強い力で握られた。あれは…万次郎くんに対しての激しい嫉妬と恨みを抑えきれなかった表れだったのかな…。)」
イザナと握手を交わした方の掌をじっと見下ろす。
「ずっと引っ掛かってた事がある」
「え?」
「東卍結成時、九代目黒龍総長、斑目獅音の言ったセリフ」
『八代目の意志を継ぎぃ!佐野万次郎!!そして東京卍會は黒龍が潰す!!!』
「"八代目の意志"…?え?黒龍の八代目総長は黒川イザナだ」
「そう…九代目黒龍が一虎に粉かけてたのも、真一郎君にバレないようにマイキーを潰す為に黒川イザナが仕組んだ事だとしたら?」
「!」
「黒川イザナの私怨だとしたら…?」
「(黒川イザナが天竺を創って東京に乗り込んできた本当の目的は…万次郎くんを…潰す為───?)」
それが分かると途端に体が震えた。
「(まさか…私を天竺に誘ったのも、私を使って、万次郎くんを潰す作戦だった?)」
「真一郎君のいない今、天竺を創設(つく)って自ら乗り込んできたんだ…。今度こそ…マイキー君を潰す為に───血の繋がった弟を潰す為に!!」
「(万次郎くんを潰す…それって…"殺す"って事?そんなの…ダメに決まってる。彼のいない世界で生きるなんて…そんなの…)」
カノトは膝の上で掌をギュッと握る。
「(約束したんだよ。万次郎くんと一緒に幸せになるって。その約束を潰さないで。)」
阻止(とめ)なきゃ
『最悪な未来』に繋がってしまう
「(絶対に守ってみせる───!!!)」
力強い瞳でそう誓った。
next…