第42章 閉ざされた未来と託された希望
「何が?」
「だから、ウチのお兄ちゃんだよ。黒川イザナ。」
"へ?"っと4人の声が同時に重なる。マイキーは自分を指差していた。
「エ、エマちゃん…今の話本当なの?黒川イザナが…エマちゃんとマイキーくんの…」
「そうだよ」
「(えぇーっ!?)」
エマの答えに流石のカノトも驚き、心の中で叫んだ。
「ちょっとー!!マイキーには何度も話したよ!マイキーにとっても異母兄弟なんだからね!」
「(異母兄弟…。)」
「エマの旧姓は"黒川"で、そっちにもお兄ちゃんがいるって!」
「……え?そうだっけ?」
「(万次郎くん、完璧忘れてるな。)」
「もー全然人の話聞ーてなーい」
「あ!思い出した!」
「嘘つけ」
すかさずドラケンのツッコミが入る。
「あのっ…エマちゃん?」
「ん?」
「その…お兄さん…"黒川イザナ"について、なんか覚えてる事ある?」
「…さすがにないかなー。エマ、3歳までしか一緒にいなかったし」
「………、そっか…」
「じゃあ黒川イザナと仲が良かった人とかも心当たりない?」
「仲が良かった…。……あっ、真兄と仲良かったみたいだよ」
「え?」
「………、シンイチローと?」
「え?なんで真一郎君と黒川イザナが?」
ドラケンも不思議そうに聞く。
「ちょっと待ってて」
「おい…」
エマは立ち上がり、部屋を出る。そしてすぐに戻って来ると、その手には四角い缶があった。
「じゃーん!!」
「缶?」
「何コレ?」
「真兄の遺品整理した時出てきたんだぁ」
蓋を開けると大量の手紙の束が入っている。
「………、手紙の束…黒川イザナからの!?」
「うん…目は通してないけど…」
「それにしても凄い量だね。ハガキ一枚に隙間なく埋め尽くされた字がびっしり書かれてて…なんというか…」
「この手紙の量!そーとー仲良しでしょ!」
「(エマちゃんも引いちゃってるじゃん…)」
「…仲良し…っていうか、ちょっと…怖ぇな」
送られてきた手紙を読んでみる。黒い字で埋め尽くされた文字を見て、ドラケンの言う通りちょっと不気味さを感じた。
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