第42章 閉ざされた未来と託された希望
「タケミっち、カノ。ここだけの話だ…」
「………、はい!」
「真一郎君は黒龍の創設者なんだ」
「……、はい……」
「え?そうなんですか?」
タケミチとカノトがそれぞれ違った反応を見せる。するとドラケンは不思議そうな顔でタケミチを見た。
「ん?タケミっちは驚かねぇのか?」
「え……」
何の疑問も抱く事なく、その視線をカノトに向ける。彼女は"タケミチくん、ここ過去だよ"とでも言いたげな目で訴えている。するとタケミチもハッとして自らの失敗に気づいた。
「(そうだ!これ現代-みらい-で聞いた情報だ!!だからカノちゃん、知らないフリしてドラケンくんの話に合わせたのか…!!)」
「(気ィ抜き過ぎだよ…。これじゃドラケンくんと万次郎くんが怪しむ…。)」
カノトは小さく溜息を吐いた。
「いやっえっと、びっくりし過ぎて声が…」
「……………」
「(挙動不審で逆に怪しまれるよ。タケミチくんって嘘つくの下手だからなぁ。)」
「まぁいいや。この事を知ってんのはオレとマイキー、そして場地だけだった。一虎が黒龍とモメて助けるって時に、この話は東卍のみんなにとって足枷になると思ったからな」
「…オレは九代目黒龍とモメる前に兄貴と話をつけたんだ」
✤ ✤ ✤
────2年前。
「そっか…黒龍とモメるか…」
「真一郎。黒龍はもう昔みてぇにかっこよくなかったぜ」
「あぁ知ってる…"八代目"が全て変えちまった」
真一郎は咥えている煙草を取る。
「…黒龍はオレの全てだった」
思いを馳せるように切なげに目を伏せ、どこか懐かしむようにそう語る真一郎。
「オマエの好きにしろ万次郎。黒龍はオマエに継いでほしくて、オマエの為に残したチームだから」
マイキーに向けて笑みを浮かべた真一郎。
✤ ✤ ✤
「黒龍を腐らせたのは八代目総長…つまり、黒川イザナか…!」
「はーいっ、お茶入ったよー」
「エマちゃん」
制服姿のエマが人数分のお茶を淹れてきてくれた。
「黒川イザナ…何者なんだ…」
「…ウチのお兄ちゃん」
「「……………」」
「へ?」
「お兄ちゃん…?」
.