第41章 絶対的な『王』の名は
「ハァ…ハァ…ッ!」
後ろを振り返っても天竺の姿は見えない。逃げ切ったとホッと安堵の表情を浮かべ、立ち止まり乱れた呼吸を整える。
「(あのまま長引いてたら流石にやばかった。天竺に関しての情報が欲しい。万次郎くんと会うよりも先にタケミチくんと会って情報を共有した方が良さそうだな。)」
折り返すと言われたがこちらから掛けてみることにした。携帯を取り出そうとした時…。
「おい!!こっちにいたぞ!!」
「!!」
バッと振り返ると先程の集団に見つかり、こちらに向かって走ってきている。
"げっ!"と顔をしかめたカノトは余りのしつこさに苛立ちを募らせた。
「(ああホントにしつこい!!わざわざ探しに来んな!!暇人の集団かっ!!)」
「こんな所にいやがったか」
「逃げ切れなくて残念だったな!」
「ハァ…とっとと諦めてくれませんかね。僕も暇じゃないんですよ」
「諦めるわけねーだろうが!」
「東卍は皆殺しなんだよ!」
「生きて帰すと思ってんのか!あァ!?」
「あー…鬱陶しい。ぎゃあぎゃあと喧しいんだよ。動物園で飼われてる猿かって。そんなに喚かなくても聞こえてるし」
首に手を遣り、ウンザリするように溜息を漏らす。その態度が気に障ったのか、ピキっと青筋を浮かべた男達の目が吊り上がり、激しく激昂していた。
「この野郎…さっきから俺らを馬鹿にした発言ばっかしやがって」
「クッソ、顔が良いと更に腹立つ…!」
「アイツまじでボコりてえ…!」
「おい!残りの"望月隊"に連絡入れろ!あの生意気イケメン野郎を完膚なきまでに叩き潰してやる!!」
「(望月隊…?)」
「さて、どうやって痛めつけて欲しい?まずその顔から殴り続けて変形させてやろうか。それとも女の前で散々甚振って恥掻かせてやろうかァ!?」
「(さっきよりも人数は減ってる。でも続けて喧嘩はまずい。体力もそんなに残ってないし…何より天竺の強さを侮ってた。多分また逃げてもすぐに捕まる。…どうする。)」
ニヤけた顔でこちらに近付いてくる男達。今捕まれば命の保証はないかも知れない。かと言って、応戦する訳にもいかない。カノトは緊張感から生唾をゴクッと呑み込んだ。
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