第41章 絶対的な『王』の名は

「東卍を狙う理由が知りたいんだったな」



正面に立つ男がカノトを見下ろす。



「そんなの…潰す為に決まってんだろ!!」



「！！」



拳を振り翳す男の攻撃を後ろに飛んで間一髪で避ける。トンっと足を地面に付け、今度はカノトが片足を振り上げ、男の横顔に一発食らわせた。



ガッ!!



「ぐあっ!!」



蹴り飛ばされた男は滑るように地面に体を叩きつけられ、気絶した。その強さを目の当たりにした男達は驚いた顔を揃えていたが、すぐに全員で襲いかかってきた。



「このガキ!!調子に乗ってんじゃねえ!!」



「死ねや!!」



「ぶち殺す!!」



拳を振りかぶった男の攻撃を躱し、顎目掛けて足を蹴り上げる。背中から倒れる男を気にも留めず、次々と男達の攻撃が続く。



「(流石にキツくなってきた…！)」



「おら！油断してんじゃねえ！」



「っ！」



ガッ



「うぐ……っ！」



首を掴まれ、ギリギリと強い力を込められる。呼吸が出来なくなり、苦しさで顔を歪めた。



「ようやく捕まえたぞ。このままへし折ってやるよ…！」



「やっちまえ！」



「殺せ！」



「(まずい…息が…)」



男の腕を両手で掴んで引き剥がそうとするがビクともしない。まさに絶体絶命である。



「はな、せ…っ」



「離すわけねーだろうが。テメェにはきっちりお礼してやんねーとなあ!!」



片手で首を掴んだまま、男は拳を振り下ろす。その一瞬の隙を突いて、カノトは男の顔の前で両手をパァン!!と打ち付けた。



「〜〜〜〜〜っ!!?」



"猫騙し"をモロに食らった男は目をぐるんっと回し、ドサッと地面に倒れた。



「ゴホッ…ゲホッ…ハァハァ…」



苦しさから解放されたカノトは首に手を遣り、片目を歪めて必死に呼吸を整える。



「お、おい!?どうした急に!?」



「何で気絶してんだ!?」



「アイツ今何しやがった!?」



「(混乱してる内に逃げよう…！)」



「待てゴラァ!!」



「逃げてんじゃねーぞテメェ!!」



「追え!!捕まえてぶち殺せぇ!!」



男達の怒号が後ろから聞こえるも、立ち止まらず、その場から走り去った。



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