第40章 これからもずっと傍に(♥)
「万次郎くん、起きてます?」
「ん〜…おきてる」
「(半分夢の中にいるような返事の仕方をされた…。きっとお腹いっぱいになって眠たくなってきちゃったんだろうな。)」
陽が沈み、紺碧色の空には小さな星々が散りばめられ、輝きを放っている。
そんな中、美味しい料理を食べて満足したのか、眠気と戦っているマイキーの首がこっくりこっくりと前後に揺れ、ウトウトと半睡状態になっていた。
「瞼閉じかけてるじゃないですか。無理に起きてなくていいですよ。先にベッドに入って休んでください」
「…ヤダ。日付変わった瞬間にオレが一番にカノに『誕生日おめでとう』って言うって決めてんだから…」
「それは嬉しいですけど…」
「オレより先に誰かがオマエを祝うのぜってー許さない…そいつ呼び出してシメる」
「物騒なこと言わないでくださいよ」
「それに今寝たらえっちできねーもん…」
「!」
「カノと誕生日えっちする…」
最早うわ言のように呟いているマイキーはカノの方に体をピッタリと寄せ、ギュッと手を絡める。
「(これは何がなんでもスる気だな。…私の誕生日まで後2時間。それまで万次郎くんの眠気が負けないといいけど…)」
「そーだ、いいこと思いついた」
「いいこと?」
「カノ、こっち。」
「え?」
立ち上がったマイキーに手を引かれ、カノトも立ち上がると、ベッドまで連れて行かれる。
「万次郎くん、どうし……わっ!」
ドサッ
「オレとらぶらぶえっちシよ♥」
ベッドに押し倒され、マイキーに組み敷かれる。突然の事に驚いたカノトだったが、にんまりと笑んだマイキーを見て慌てふためいた。
「ね、眠いんじゃないんですか!?」
「眠気覚ましに付き合ってよ。カノに触れたらオレもヤル気になるからさ」
「"やる気"じゃなくて"ヤル気"!?」
「オレの眠気が一発で覚めるようにカノのカワイイところたくさん見せて」
ベッドサイドに置いてあるリモコンに手を伸ばし、ピッと部屋の照明を薄暗くする。これからマイキーと体を重ねる。それ自体は別に嫌ではない。旅行に来る前から覚悟していたことだ。
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