第40章 これからもずっと傍に(♥)
「最初から本気出したら秒で決着つくじゃん。それに絶対オレに勝ってやるっていうカノの顔見んのが可愛くて手加減してた」
「また可愛いって言う…」
「さてと…勝ったのはオレだし、どんなお願い聞いてもらおうかなー」
「(まさか本当にさっき言ってたお願いにするんじゃないよね…?)」
「抱きしめてちゅーするとこ動画に残すのもいいし、AVのインタビュー真似てオマエにキワドい質問すんのもいいし…」
「(早くも実現!?)」
オロオロと困った顔を浮かべるカノトを見下ろしたマイキーはその様子にクスッと笑い、"お願い"を口にする。
「旅行中はオレのこと、マイキーくんじゃなくて、"万次郎"って呼んで」
「それが…お願いですか?」
「うん」
マイキーの"お願い"を聞いて目を丸くさせる。マイキーのことだから、もっと恥ずかしいお願いをされるんじゃないかと思って覚悟していたカノトは、自分のことを名前で呼んで欲しいと言ったマイキーの言葉にキョトンとした。
「何、もしかして、やらしいお願い想像してた?オレがカノにえっちなお願いするんじゃないかって思ってた?」
「そ、そこまでは思ってないですけど…」
「"そこまで"って事は、多少は思ってたんだな。まぁ、オマエでエロい想像してる時とかあるし、否定はしねーけど。」
「わ、私でえろ…い、想像…」
「聞きたい?」
「け、結構です!」
"残念"──そう言ってマイキーはクスッと笑った。
「名前で呼んでくれるよな?オレから呼んでって言わないと、カノ呼んでくんねーし。このくらいのお願いは聞いてくれるだろ?」
「そりゃあ勝ったのはマイキーくんですから聞きますけど…」
「けど?」
「普段はマイキーくんって呼んでるので…その、まだ名前呼びは慣れないというか…恥ずかしさがまだあって…」
「恥ずかしいだけなら呼べるって。な?オレのこと名前で呼んで。」
「…ま、万次郎、くん…」
「もっかい。今度はオレの目見て言って」
スルっと指先を絡められ、ギュッと握られる。それに小さくピクっと反応したカノトは、名前呼びに恥ずかしさを感じながら、紅潮した頬で顔を上げ、マイキーの目を見た。
.