第40章 これからもずっと傍に(♥)
「ごめんごめん。もうやめるからカノから打っていいよ」
「……………」
「むくれた顔もかわいー」
「全然やめてないじゃないですか…」
放っておくとまた"可愛い"を連呼するので、さっさと打ってしまおうと思ったカノトは、ボールを高く上げてラケットで打った。
それから何回かラリーが続いては、お互いに点数が入り、現在の得点は【マイキー:8/カノト:10】で、カノトの方が有利に立っている。
「えー…カノが勝ったらオレのお願い聞いてもらえなくなる」
「(まさか私がマイキーくんより先に10点も取るなんて。もしやこれは…いけるのでは?あと1点取れば私の勝ち。うん、いける!)」
「このままだと負けちまうな。オレ負けんのは絶対ヤだし、何がなんでもカノにお願い聞いてもらいてーから、こっからは本気で勝ちにいくわ」
「え?」
本気で勝ちに行く?
あれ…?
今までのが本気だったんじゃ…?
マイキーの言葉に戸惑っていると、ボールを構えたマイキーがこちらを見る。
「呆けてないでラケット構えろ。また油断してると…すぐに追い越されんぞ──!!」
カコンッ!!
「(速ッ……!!?)」
本気になったマイキーのサーブは今までよりもずっと速く、視界に捉える事ができない。気付けばボールはカノトの横を通り過ぎ、後ろにある壁に衝突し、床に落ちてコロコロと転がった。
「(む…無理無理!!速くて見えなかった!!全然目で追えないんですけど!?)」
「次。ちゃんと返せよ?」
「ちょ、ちょっと待っ…」
カコンッ!!
「ひぃぃ!?」
またしてもバウンドしたボールが跳ね、後ろの壁に勢いよくぶち当たる。その音に"どんだけ強い力で打ってんの!?"とビクつくカノトは顔を引き攣らせた。
そしてすぐに勝負がつき、マイキーが余裕で1ゲームを勝利したのだった。
「はぁー楽しかった!オレの勝ちだなカノ♪」
「…あんなに強いなんて聞いてない。しかも最初の時とは全然違うし。マイキーくん、本気でやってませんでしたね?」
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