第40章 これからもずっと傍に(♥)
「(やっぱりマイキーくん上手い。これだけ打ち合いが続いてるのにまだ余裕そう。よし…ちょっと強めに打ち返してみよう!)」
カコンッ!
「!!」
カノトが少し強めに打ち返すと、ボールの速さが上がった事に驚いたマイキーは、自分のコートに返ってくるボールに腕を伸ばしてラケットに当てようとするが、ギリで届かず、カノトに1点を許してしまう。
「やった!」
「くそ…今のは油断した。でもまだ1点だろ!これからが勝負だ!次はぜってー負けねぇ!」
悔しげな表情のマイキー。今度はマイキーからサーブを打つ番で、カノトはボールから目を離さないように集中している。
「(次も取る!)」
「なぁカノ」
「?」
「好きだよ」
「はっ!?」
カコンッ!!
「あっ!?」
「よっしゃ!オレの得点!この程度で油断するなんてカノもまだまだだなぁ〜♪」
「ちょっと!!今のズルくないですか!?」
「ん?何が?」
「そういう言葉で私が油断するの知ってて打ったでしょう!?」
「わざとじゃねーもん」
「何であのタイミングなんです!?」
「真剣な顔でラケット構えるカノが可愛くて好きだなって思ったから伝えただけだけど?」
「だ…だとしても!惑わすのはダメです!マイキーくんのせいで集中力切れちゃったじゃないですか!」
「怒った顔も可愛くて好き」
「話聞いてます!?」
こっちは怒っているというのに本人はずっとニコニコと笑っている。見事マイキーの罠にハマったカノトは"ぐぬぬ…"と悔しげに表情を歪ませ、自分を責めた。
「(私のバカ!!マイキーくんの甘い罠にハマってどうするの!!ちゃんと集中して!!)」
「随分と悔しそうだな。これはオレが勝っちゃうかもなー。どんなお願いにしよっかな。アレもいいし、アレでもいいな」
「まだ負けるとは限りませんから!!その余裕崩してやります…!!」
「ムキになっちゃってかーわいい♥」
「もうマイキーくん…っ!!」
「なぁに。オレのこと好き?」
「っ!す、き…ですけどっ!!今は勝負に集中してくださいよ!これじゃ進まない…!!」
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